二人で一人エッチ 1

「うーん。何をあげたら喜びかなあ・・・・」

初夏の日差しがまぶしい5月中旬。
仕事帰りに、最近人気のある紳士服ブランド店に入り中を探索する。
拓也と付き合い始めて3ヶ月が経過し、来月には彼の誕生日を迎えることになった。
3ヶ月前と言えば・・・・・・・
社員旅行中に私は風邪をひいてしまい、旅館で寝ていた時に拓也に告白され、早くもその晩に結ばれてしまったのだが…。

「欲しいもの?」
「うん」
「欲しかった財布もこの前手に入れたし、指輪も奈緒と交換したし…。今は特にないよ」
「なんだぁ。つまんない。何か考えてよー」
「そっか。もうすぐ俺も27になるんだよな。何かくれるの?」
「まぁね。」
「奈緒の手料理が食べたいな」
「そんなものでいいなら幾らでも作るけど・・・」
「あとは・・・。そうだな。誕生日になったら言うよ」
「それじゃ間に合わないじゃん」

ふふ・・・と何やら怪しげな笑みを浮かべる彼。


誕生日当日。
近くの大型スーパーで食材を買い揃えて彼の家に向かった。
いつもは肉料理を中心に作るのだが、今日は魚料理に挑戦してみることにした。
レストランのコースを真似して少し豪華に。
前菜は鯛のカルパッチョ、ジャガイモの冷性スープ、メインは鮪の山葵風味ソテー香味野菜添えを用意した。
料理本を見ながら慎重に作ったが、どれも初めて作る料理なので拓也の反応が気になる。
フォークを口に運ぶのを静かに見守る。

「うん、おいしい!!」
拓也の顔が綻ぶ。

「ほんと?」
「うん、奈緒がこんなに料理上手なら外食なんかしなくていいよ。また作ってね。」
「はぁ、良かった」

誉めてくれたおかげでやっと緊張が解けた私も一緒に料理を楽しんだ。
風呂上りには買って来たシャンパンをグラスに注いで二人で少しずつ飲み、
ソファーに座って拓也が最近集めているジャズのCDを聴きながらくつろいだ。
時間がゆったりと流れる中でどちらからともなく自然な流れでキスをする。
しばらく耳元や首筋にキスを受けていたがそれ以上は何もする気配がない。
(何だ、今日は疲れてるの?)
期待していた訳ではないけど、そこまでされたのに。と少しがっかりしてしまう。
しかし、拓也は怪しい計画を実行させようとしていたんだ。

「ねぇ、お願いがあるんだけど・・。」
「何?」
「前に言ってた誕生日にして欲しいお願いなんだけど。言いにくいけど…。奈緒のオナニーが見たい」

目がテンになってしまったとはこういうことを言うんだ。
この男、いきなり何を言い出すんだろう?
一人エッチを全くしていないわけじゃないが、誰かに見せながらするなんて考えたこともない。

「何言ってるの!そんなこと無理だよ…」
「じゃあ一緒にビデオでも見ようか」
「ビデオ?」

彼が用意していたのは「大人の教科書」。
自然なセックスがテーマで、女性でもあまり抵抗なく見れるアダルトビデオらしい。
ビデオを再生すると画面の中ではハーフっぽい女性と、流行のドラマに出てきそうな綺麗な顔立ちをしたカップルがキスを始めていた。
元彼とAVを数回見たことがあるが、確かに男性が借りてくるようなものとは少し雰囲気が違うような気がする。
ガンガンがっついているような雰囲気や、汚いおじさん達に犯されて喜んでいるようなあまりにも演技臭いプレイではなさそう。
普通のカップルっぽい人達のキスシーンを見ると、妙に興奮してしまった。
他人から見たら、自分達の行為もああいう風にエッチに見えるのだろうか?

強く抱き合いながら徐々に激しいキスに変わっていき、ベッドに倒れこむと 首筋に舌を這わしているようだ。
男性が着ていたTシャツを自分で脱ぐと、割と筋肉質の体が露になった。
拓也が傍にいるのに他の男性の裸体に思わずドキッとしてしまう。
男性はそのまま女性の服を脱がしに取り掛かる。
ビデオの女性が「はぁ…」と吐息をもらすと、その女性の気持ち良さを想像してしまい中心が潤ってくる。
私は少しも触られていないのに、拓也に実際に胸の先端を含まれているような感覚を覚えた。
ただのビデオを見ているだけなのに…。

絡み合っている姿を見ると、二人のため息を聴くと、中心が疼いてしまい、もどかしい感覚に襲われる。
始まってまだ数分しか経っていないのに、エッチ本番が始まったらこのまま耐えられるだろうか…と不安になる。
AVを見ると自然を興奮して、一人で自慰行為にふける男性の気持ちが分かる気がした。
横で私の肩を抱いていた拓也は体をずらし、私のカーディガンのボタンを外していく。
外し終わるとさっと立ち上がり、部屋の電気を消した。
手早くブラジャーのホックを外し、暗闇の中で胸が露わになった。

「暗いからさっきよりはマシでしょ…?」
「・・・そうだけど」
「よかったら見せてくれる…?」
「その…、拓也も一緒にしてくれる?・・・ならやってもいいけど」

今にも消え入りそうな声で言った。

「え?俺も一人でってこと?」
「うん。私だけ一人でするのはやっぱり恥ずかしいから…」

少し沈黙があり、
「分かった。俺のわがまま聞いてくれて嬉しいよ」

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