今時プラトニックな彼女 3
 10月の終わり。付き合ってもうすぐで8ヶ月になる。
理香子は最近俺の家に泊まりに来る日が増えてきて、嬉しい反面体の欲望と戦うのに必死だった。
 その日は二人で作った手料理を食べた後、理香子は洗い物をしていて、俺はぼーっとテレビを眺めていた。彼女が作る料理の味付けはいつも絶妙でついつい沢山食べ過ぎて、食後は眠気が襲ってくる。
 うとうとしているとキュッと水道の蛇口を閉める音がした。
 理香子がタオルで手を拭きながら口を開いた。

「ねえ、お風呂借りていい?」
「え?今日も泊まっていくの?」
「うん。寒くなったら一人で寝るのが寂しくなっちゃって。・・・ダメ?」
「全然いいよ。泊まって行ってくれた方が嬉しい。でも 大事な娘が若い男と一緒に寝ていいのかなー」
「あははっ!お父さんみたいなこと言わないでよ」
「風呂、一緒に入ってもいい?」
「ダメ」
 当然のことながら断られた俺は、悶々としながら一人で週刊漫画を読んでいた。
 半同棲してるんだから、風呂ぐらい一緒に入ったっていいじゃないかよ。まあ、風呂に入るだけじゃ済まないだろうけど。

 風呂上がりにパジャマを着た理香子がソファーベッドの上に座って髪の毛を乾かしている。ボディソープとシャンプーの良い香りが漂っていて、まだ風呂に入っていない俺はその匂いを敏感に感じとれる。
 普段の化粧は、アイメイクやリップグロスを塗るだけの彼女の肌はきめ細やかで、お風呂上りに化粧水をつけただけでも充分に潤って輝いていた。
 俺は、理香子のパジャマの隙間から見える胸の谷間を、気付かれないように横目でちらっと伺う。そのうち我慢できなくなり、ベッドに飛び乗ると彼女の瑞々しい唇に自らの唇を重ねていた。
「どうしたの!?」
 一旦唇を離すと俺の急な行動に驚いた様子の彼女は、ぱっちりとした濡れた瞳で見つめ返してきた。
「可愛い…」
「えっ?」
 ちょっと困ったような表情をした彼女に構わず、そのままベッドに押し倒した。
「きゃっ」

 再び口付けを交わした。彼女の上に乗っているというシチュエーションに興奮した俺は唇の隙間から舌を差し入れた。そのまま彼女の口の中を右往左往する。
 絡まった舌が離れる時にツーっと唾液の糸を引いた。ちゅっちゅっと粘着質な音を立てながら、何度も唇を吸い合う。
 彼女の口元から、んっ…とくぐもった声が時折漏れている。理香子も俺と同じように感じてくれているのかもしれない。その声を聞いた俺はもう止まらなくなってしまった。
 二人の唾液が混じり合うディープキスはすごくエロティックな行為で、童貞にとっては刺激が強すぎる。
 湯上りの彼女を見た時から反応し始めていた息子は、彼女に密着した状態で濃厚なキスを交わしたせいで既に痛い程に張り詰めていた。経験のない理香子にも気付かれているかもしれない。

 理香子の全てが欲しい・・・。
 唇を吸いながらパジャマの上から胸の膨らみに手を当てて強引に揉んだ。
「ちょっ・・・!仁!」
 彼女の制止を振り切って、貪欲に体を探り続ける。
 欲望に塗れている状態ではパジャマのボタンを一つ一つ外すのももどかしい。 パジャマをめくって下から直接手を差し入れ、ブラジャーの中に指を入れようとした途端のことだった。
「もうやめて!」
 叫びにも近いその声に、はっと我に返り手を引っ込めた。
「ごめん」

 黒目が大きい彼女の瞳が涙で潤んでいるように見える。
 体を離して二人ともベッドに起き上がると、付き合って以来最大の気まずい空気が流れていた。
 理香子は俺の愚息を…大きくテントが張っている部分を見るとぱっと目を反らして少し怒った口調で言った。
「やっぱり、こんな状態で付き合うのは無理だよ」
「そんな…無理じゃないよ」
「あたし今日はうちに帰るね」
 無表情のまま立ち上がると、着替えを探している。
 何とかしなければ…。
「ごめん!もう理香子が嫌なことは絶対しないからうちにいて!」
 しばらく迷った様子の彼女だったが、俺が頭を下げて必死で謝ると「分かった」と気のない返事をした。

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