今時プラトニックな彼女 4
「風呂入ってくる」
 独り言のように呟くと、風呂場へと向かった。
 俺は何をやっているのだろう・・・。
 前の部分が湿っているトランクスを脱ぐと情けなくなって、洗濯機の中に乱暴に放り投げた。
 バスルームに入ると、熱いシャワーを頭から浴びて体中を綺麗にボディーソープで洗った。
 溢れ出してくる欲望も全て洗い流すことができたらいいのにと願ったが、悲しくなるぐらい体の方は言う事を聞いてくれなかった。
 シャンプーしながら理香子の体の感触を思い出すと、一度は治まっていたそこに再び血液が大量に流れ込んだ。敏感になっている部分にシャワーが当たってもどかしい。
 少量の透明な液体が出てきた亀頭をさらに潤すために、リンスを塗って右手でしごき始めた。リンス独特のヌルヌルした感触が気持ち良くて、俺の剛直は硬さを増した。

 理香子が家に泊まりに来るようになってからマスターベーションの回数が増えたように思う。
 酷い時はドライブしている最中に催してしまい、このままホテルに入ることができればどんなに楽か!と考えることがある。実際には入れるわけないので、理香子を送り届けた後に一人で慰めるしかないのだ。
 やりたい盛りの大学生なんだから仕方ないじゃないか。
 好きな娘と同じベッドで寝ていて何もできないなんて蛇の生殺しである。

 さっきは服の上から胸を触ったので、はっきりとした感触はあまりよく分からなかったが、柔らかくて男には絶対にないものだった。
 普通のカップルなら、あのままパジャマを脱がせて、最終的に一つに交わることができるだろう。
 なのに何で自分達はできないのだろう。
 一度だけでもいいから、彼女を抱きたい・・・。
 激しいキスを思い出すと一気に高まってきた。
 手の動きが早まる。数秒後、また今日も理香子とセックスすることを想像しながら排水口に向かって射精した。
 一度出してしまうとイライラとした気持ちも収まってきた。

 風呂から上がると、理香子はわざとらしくベッドの隅の方に寄って眠っていた。
 そんなに逃げなくても今日はもう襲わないのに。
 明日になればどうなるか自信は全くないけれど・・・。
 これから二人一緒の時間を過ごしていく上で、男の生理現象が起こる度にトイレや風呂に篭ってマスターベーションをしろと言うのか。
 そんなことを考えながら俺は、いつの間にか理香子の隣で眠りについていた。

◇ ◇ ◇

  冬休みが終わると俺はバイトが忙しくなり、彼女も就職前に車の免許を取るために教習所通いで、今までのように頻繁には会えなくなってしまった。
 就職活動を始めないといけない時期が迫ってくると、いつもは何も考えてなさそうな奴らが『企業説明会に行くために地元に帰るわ』などという話を聞いて自分も焦らされる。
 理香子と会えないのは寂しかったが、その分バイト仲間と話す機会が増えてそれなりに充実した時間を過ごしていた。
 何より、二人きりになって我慢させられることがないのは助かった。3日に1回は自分で抜いていたけれどその方が気楽で良かった。エッチできるものなら今すぐにでもしたいけれど、体を触ってあんな顔をされるぐらいならAVを見ながらした方がマシだ。
 理香子の前では仏でいようと心に決めた21歳の冬。

 3月になると、俺は就職活動に専念するためにバイトの時間を減らしてもらった。
 理香子も無事に教習所を卒業してAT限定免許を取得した。
 彼女は5月に公務員試験も受けるため、数的処理や憲法などの頭が痛くなりそうな参考書と毎日睨めっこしていた。
 俺もSPIの問題集を買って理香子の隣で眠い目を擦りながら問題を解き進めていたが、気になることがあったので、答え合わせを終えたであろう理香子に尋ねた。

「そういえば、理香子は卒業したらどうするの?」
「どうするって・・・取り合えず公務員試験を受けて、受かったら公務員になりたいと思ってるけど。ダメだったら一般企業に行くしかないね。就職浪人するのは厳しいし」
「まあそれは分かるけど、地元で働くのかってこと」
「うん。地元で募集があるから、受けるつもり」
「そっか・・・」

 それを聞いた俺は、目の前が暗くなった。
 また理香子は俺を苦しめようとしているのだろうか。エッチもできない上に遠距離恋愛だって?くそー!もしかして、そのまま俺とさっぱり別れようとか思ってるんじゃないだろうな。
 ダメだ、マイナス思考気味なのを変えなきゃ、就活も乗り越えられないぞ。
 俺は気持ちを切り替えようと、意識を本に集中させようと努力したが、本の内容は頭の中を素通りしていった。

 俺はどこで就職を考えているかというと、地元まで就活に通うお金もなかったために近場で済まそうと考えていた。まあ、実家に帰ると親がうるさいからなるべく離れたところで就職したいという思いもある。
 何よりも家族を大事に想う理香子にそれを言ったら、きっと薄情者だと言われるだろう。

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