今時プラトニックな彼女 6
 おやすみ、と言ってから10分が過ぎただろうか。
 親御さんとの慣れない食事の席で緊張していたためまだ神経が高ぶっていたし、理香子と久しぶりに一夜を共にするので目が冴えていた。

 ・・・今日こそいいんだよな。
 でも、また拒まれたら・・・?
 期待と不安が付きまとって心を惑わす。
 しかし、今更拒まれても俺は怒ることなく、静かに受け入れることが出来るだろう。何せ、やりたい盛りの学生時代にずっと 我慢していたのだから。
 駄目ならまた今度でいいや。
 そう考えると気が楽になった。
 隣で寝ている理香子にそっとキスをした。体がぴくりと反応するのを感じた。彼女も同じように寝付くことができなかったのだろうと願いたい。
「理香子、愛してる」
「うん・・・」
 薄暗がりの中で彼女の漆黒の瞳がきらりと輝き、吸い込まれそうになる。
 再びキスを落とした。彼女の上に覆い被さって何度も何度も口付けを交し合った。段々激しくなり、互いの唇や舌を吸い合う深いキスへと変わって行った。
 ここまでは経験したことがある。最初のうちは戸惑っていた理香子だが、回数を重ねるごとに、力を抜いて体を預けてくれるようになった。終わった後の俺の下半身はすごいことになっていたが…。
 唇が擦れる度に、火傷しそうに熱くなる。もう何度も耳にした、特有の湿った音が響いて、欲情を駆り立てる。
 理香子は俺の背中に手を回して、ぎゅっとしがみ付いて来た。
 静かな部屋の中ではっきりと聞こえる彼女の息遣いや時折漏れる声から、気持ちが昂ぶってきているのが分かる。
 俺の下半身は既に情けなく怒張し、抑え切れない強い衝動に支配されようとしていた。
 恐る恐る彼女の胸に手を回してみる。
 どうだ…?
 動かす手先に、緊張が走る。
 拒まれることはなかったので、バスローブを脱がせて先へ進めていった。
 白い肩が微かに震えている。
「嫌だったら、遠慮せずに言って」
 冷静に言ったつもりが、掠れた声しか出ない。
「・・・うん」
 理香子は小さく頷くと、不安そうな瞳を向けた。
 自分自身の緊張と不安をかき消すように、彼女の唇を貪った。
「んっ…んんっ……」
 鼻から漏れる吐息を聞いていると、いよいよ我慢が出来なくなった。
 理香子の体も熱く火照っている。

 背中を探り、理香子のブラジャーを外すと、柔らかな胸が露わになった。彼女はとても恥ずかしそうにして身を硬くしているのが分かる。
 おそらく大きくはないだろう胸だったが、白くてすべすべのおっぱいを触ると、そんなことどうでも良くなった。
 俺は夢中になって、硬く尖った先端に吸い付いた。口の中で転がすと硬さを増していくそれは、かすかに甘い女性の香りがした。
「んっ……」
 突起を小刻みにくすぐると、理香子は鼻を鳴らして答えてくれる。
 激情に駆られて、ついつい乱暴に乳房を揉んでしまいそうになるのを必死で抑えた。
 微かに震える太ももをなぞりながら、レースがついたパンティを脱がして、自分も着ているものを全て脱ぎ捨てた。
 控えめなアンダーヘアーまでもが、俺の脳内のやらしい所を刺激する。
 目に映る全てが新鮮で、理香子にも聞こえてるんじゃないかって位、心臓が高鳴っている。
 そっと足を開かせようとすると、彼女は抵抗した。太股はぴったり閉じられていて、これでは何も出来やしない。
「やだ……」
「なんで?」
「…だって、恥ずかしい」
 俺から顔を背けて、体を縮こまらせた。
 そんな彼女の様子を見ていたら、俺まで気恥ずかしくなってしまう。
 焦る気持ちを抑えて、ここは冷静に優しく対処しなくては…。
「じゃあ、今日は止める…?」
 逃げ道を与えて、反応を伺う。
「うーん・・・」
 どっちとも取れる返事で、悩んでいる理香子。
「布団かけるから、それでいい?」
 必死で打開策を告げると、彼女は首を縦に振った。
 俺は素早く布団を背中に被ると、彼女の上に覆い被さった。
 初めてだから、恥ずかしがるのも無理はないだろう。しかし、恥らわれると余計に見たくなるのが男心ってものだ…。
 何とか手を差し入れることが出来るくらいに足を開かせると、ついに彼女の秘密に触れた。手に入りそうで、数年もの間たどり 着けなかった。服の上からも触ることが許されなかった神秘的な場所。
 期待と欲望に押し流されそうになりながら、慎重に探った。
 ・・・男と違って複雑な構造をしているな。
 柔らかくてそれでいて弾力があって、そして温かく濡れていた。
 訳も分からず周辺を探りながらも、俺はある場所を探していた。
 その場所に指を沈めようとすると、理香子の下半身にぎゅっと力が入った。
「痛い…?」
「ん…大丈夫」
 複雑な襞を掻き分けて、侵入させていくと中は熱くとろとろになっていて感動を覚えた。しかし、中指1本でもとても窮屈だ。こんな狭い所に本当に入るのだろうかと心配になる。
 内部の指を少しずつ動かしてみる。ゆっくり抜いては、再び挿入する。のみ込まれるように、奥へと滑り込んでいく指。
「あぁ……」
 理香子の控えめな声でも俺の欲望は膨らむ。
 抜き差しを繰り返していると、ぬぷっと艶かしい音が聞こえて、頭に血が昇る。
 理香子は身を捩って羞恥に耐えているようだった。
 指の腹を当てて壁を少し強めに押してみる。
 くちゅくちゅと空気が漏れ出るような音がして、思わず耳を澄ましてしまう。
 理香子のあそこから発する音…。全てが眩暈がする程の刺激的な体験。長い間耐えたのだから、余計魅力的に思えたのかもしれない。
「そ、そこ、駄目…」
 ざらざらした部分を押すと、理香子が腰を引いて俺の手から逃げるようにした。
「痛かった?」
 慌てて止めたが、彼女ははっきりと返事をしない。
「とにかく駄目」と言われて、俺は渋々その場所を触るのを止めた。
 掌に垂れてくる位、沢山の愛液が流れ落ちてきた。

 少し気恥ずかしかったが、あることを言うために股間の天を向いた棒を指差した。
「これ触ってみる?」
「えっ?これって・・・?」
 俺も恥ずかしくて口に出すことが出来ない。 「男の・・・」と遠まわしに言いながら、理香子の太股にそれを擦りつけた。
「あ・・・」
 それが何であるか、彼女は理解したようだった。困ったように目が泳ぐ。
「無理にとは言わないけど」
「・・・じゃあ、少しだけ」
 理香子はペニスを恐る恐る触ったが、どうしたら良いのか分からないようでじっと固まっていた。
「そっと撫でてみて」
 彼女は黙って頷くと、ペニスを手で軽く包んで優しく撫でてくれた。彼女の手の中で、我が息子はビクビクと元気よく跳ねる。
「すごい硬いね…」
「男は興奮したらこうなるんだよ。びっくりした?」
「うん、ちょっと・・・」
 もどかしい感触と、初めて女性に触られているという状況から、今にも爆発しそうな程の興奮が襲う。先走りがいつもよりも多量にあふれ出しているのを感じる。
「やべぇ。気持ちいい」
「そう?」
 理香子の声が弾んでいる。少しはコレに慣れてきたのだろうか。
「待って…。もういいよ」
 このままだと、一つになる前に達してしまいそうだったので、慌てて止めさせた。初めての時に、彼女の手を汚すことだけは何としてでも避けたい。
「そろそろいい?」
「うん・・・」

 避妊具を探し出すと、説明文を思い出して不器用な手付きで何とかコンドームを装着した。ついに、最後の段階まで来てしまった。
 さっきよりも理香子の足を大きく広げる。今度は抵抗を見せなかった。
 どうやればいいのか分からずに戸惑っていると、理香子が手で導いてくれた。
 俺は彼女の入り口にぎゅっと押し付けながら格闘していた。理香子の方は痛さに耐えていたのだろう。顔を歪ませながら体を硬くしていた。
「大丈夫か?」
「うぅ・・・・・・」
 処女の初体験の痛さは男には分からないが、この「きつさ」からして相当痛いに違いない。
 理香子が痛いと言えば、止める覚悟も出来ている。後が相当辛いだろうけれど。
 圧迫を感じながら、ようやく先の方が入っていった。
「んんっ・・・ああっ・・・」
 苦しそうな高い声が発せられる。
「痛いなら止める・・・?」
 理香子の体を気遣ったが、彼女は首を横に振った。
「痛いけど・・・我慢する・・・」
「あんま無理するなよ」
 彼女になるべく負担をかけないように、ゆっくりと進んでいった。
 中は未知の世界だった。
 人肌以上に熱く感じ、きつく締め付けていて、でもドロドロで…。
 眩暈がする程の快感が下半身に与えられ、身震いしてしまう。
 昂ぶりは理香子にぎゅっと捕まえられて、限界まで硬さを増していた。
 抵抗が少なくなると、見よう見まねで腰を前後にスライドさせる。
「はぅ…あっ……」
 彼女の我慢しているような声にまで興奮してしまう俺は、どうやら末期症状らしい。
 「大丈夫?」と口だけで気遣いながらも、腰を止めることが出来なかった。
「今、入ってるの…?」
「ああ、奥まで入ったと思う…」
「良かった・・・」
 痛いだろうに、無理に微笑んでくれる理香子を見て、愛しさが込み上げてくる。
 やっと一つになれたんだ。
 ここまで本当に長かった。
 なるべく負担をかけない様に、静かに体を埋めたがそれだけで充分だった。
「ごめんな…もうちょっとだから…」
 理香子の爪が背中に食い込み、それさえも快感に変わる。
「理香子……俺、おまえのこと大事にするから」
「…うん、分かってる」
 彼女は微笑むと、こんなちっぽけな俺を温かく柔らかく包み込んでくれた。
 もう限界だった。
 好きだ、愛している、ありがとう、様々な言葉が頭の中に浮かんだが、口に出したら軽くなってしまう気がした。
 それらを心の奥にしまうと、彼女の体内へ想いを吐き出した。

「やっと理香子と繋がることができた。って言ってもまだ完璧じゃないけど。ごめん…痛かっただろ?」
「うん。こんなに痛いとは思わなかった」
「そっか・・・俺って下手なのかな。軽くショック」
「気にしないで。きっと誰でも一緒だよ・・・それよりあたし、初めてが仁で良かったと思うし」
「そう?」
 理香子は笑顔で頷くと、俺の背中に手を回してぎゅっと抱きついた。
 俺も理香子を抱きしめると、穏やかにキスを交わした。

 辛い思いをしたこともあるけれど、ずっと待って本当に良かったと思う。
 嬉しさがジワジワと込み上げて最高に幸せな気分だった。
 二人裸で抱き合ったまま眠りについた。
 目を覚ますと、隣で寝息を立てている理香子がいて、夢じゃなかったんだと確認する。
 裸のままの肩に布団を掛けてあげた。
 俺は先にベッドを抜け出して、シャワーを浴びた。
 理香子が起きた時の恥ずかしそうな顔が目に浮かび、体中が幸福で満たされた。
 もっともっと仕事を頑張って、大きな人間になって、理香子と共に必ず幸せな家庭を築いて見せる。

―――――終わり―――――

いつも以上に、Hシーンが薄くなってしまいましたm(_ _)m 初体験の時の新鮮な気持ちを思い出して頂ければと思います・・・。
長い間、主人公はよく我慢しましたね。私だったらきっと耐えられません。

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