失恋旅行 3

 翔さんが再び布団に入ってくると緊張が高まった。あたし、このまま彼と…。
「彩加ちゃん・・・」
「彩加って呼んでいいよ。今だけね」
「今だけかよ!何か俺の方が遊ばれてるのかなあ・・・」
 真剣になるのが恥ずかしくて強がりを言ってしまう。二人で顔を合わせて笑った。
「目つぶって」
 言われるままに目を閉じると、翔さんが覆い被さってきて熱い唇を重ねた。脳内の乙女モードは一気に全開になった。
 右から左から、次々とキスが降ってくる。体から力がふわぁっと抜けて、全てを委ねることにした。
 翔さんの舌が入ってきて、当たり前だけどあたしの舌にも触ってるんだと思うと恥ずかしくなった。でも翔さんの舌使いは恥じらいの気持ちをすぐに消し去るような力があった。
 キスは次第に湿り気を帯びてきて粘着質な音を立て始めた。
唇が腫れる程触れ合ったけれど離れたくなくて、このままずっと深いキスを続けていたかった…。
 けれどキスだけでは我慢できない時が二人にやってくる。 あたしの女の部分はとうに溢れきっていて、今止められたら狂ってしまうかもしれない程にざわついていた。
 翔さんは唇を離すと別の場所へと移動した。
 ほっと一息つく間もなく首の辺りに刺激を感じてゾクゾクした。 次々と与えられる行為に応えていると酸欠になりそうだ。
「大丈夫?」
「ぅ…うん」
「今ならまだ止められるかもよ?」
 またそんな事を言って、困らせようとしている?
 あたしはこんなにもあなたを求めているのに――。

 今更こんなことを思うのも変かもしれないが、付き合ってもいない相手を受け入れるのは少し罪悪感を感じる。しかし、今はそれよりも彼のものが欲しいという気持ちでいっぱいだった。
 背中に手を回すと「止めないで」と小さく呟くと、翔さんはあたしのTシャツを脱がしてブラも乱暴気味に剥ぎ取った。
「きれいだ・・・」
「ううん。そんなことない」
「こんなに魅力的な彩加がいるのに浮気するなんて馬鹿な男だ」
 お世辞かもしれないけど、翔さんの優しさが身に染みた。
 ゴツゴツした男の手が裸になった胸に触れて少しずつ動き始めた。まるで壊れ物を扱うかのように繊細に、緊張気味に触れているような気がする。
 もっと激しくしてくれていいのに・・・。
 物足りない刺激があたしを焦らさせて淫らな気持ちにさせる。
 またもや、あたしの気持ちを弄んでいるのか、特に触って欲しいところに中々触れてくれない。膨らみを撫でているだけで、トロトロに溶かされてしまった。
 翔さんの少し汗ばんだシャツを掴んで心地良い愛撫に身を任せていた。その時、突然強い刺激を感じた。
「あぁっ」
 あたしはすっかり油断していて、胸の先端を口に含まれた時にあられもない声を出してしまった。指と口を使って弄られながら、一気に追い詰められてしまう。
 まだ何もされていない部分からじわぁっと溢れ出しているのが自分でも分かる。もっと続けて欲しいけど、これ以上されたら自分が抑えられなくなると感じた。
「翔さん・・・も、だめ・・・」
「まだまだこれからだよ」
 翔さんはやっぱりあたしより経験豊富だ。余裕のある素振りを見せられて少し悔しくなる。
 片手で胸を弄りながら、もう一方の手でショートパンツを脱がすと下着も一気に下ろされてしまい、恥ずかしさが増す。
「ねえ、翔さんも脱いで」
「ああ…」
 Tシャツとハーフパンツをぱぱっと脱ぐと、鍛えられた肉体が露わになって、目が釘付けになった。
「これも?」
 トランクスを指差して翔さんが意地悪な笑みを浮べる。当然、脱がないと出来ないけれど、脱いで欲しいなんて言えない。
「好・・きにすればいいじゃん」
「じゃあ、彩加が脱がせて?」
「え!?」
「いやならいいけど」
「別にそれ位いいよ…」
 あたしだって男の服を脱がせたことぐらいある。
 翔さんの前に膝立ちになって、真ん中がもこっと膨らんでいるトランクスのゴムの部分を持って、そっと下にずらした。
 隆々と直立したペニスが目の前に現れて、オトコの香りがした。
 彼自身をまざまざと見せ付けられて息苦しくなっていると、いきなり布団に押し倒された。
「きゃっ」
「彩加・・・俺、もう止めないからな」
「あっ・・・」

 裸で抱き合うと夢中でキスを繰り返した。
 お互い一糸まとわぬ姿で、翔さんの肌を体中で感じているので、服のままされるのとは気持ち良さがまるで違う。
 翔さんの唇と舌で体中を滑らかに愛される。舌使いは時折力強く、そしていやらしく動いていた。やがて下の方にもやって来た…。
 花弁に熱い息がかかってヒクっと震えた。下着まで濡らしてしまったこの状態を見れば、翔さんが欲しいって懇願しているのがバレバレだろう。
 敏感なヒダをねっとりと舐められる。
 ねちゃ、ねちゃ、ぺろ、ぺろ・・・
「っふぅ・・・」
 天国に昇ったような秘所への快感によって、出そうになるはしたない声と荒くなる息を必死で抑えていた。
「声我慢しなくていいよ」
「だって…初めてなのに」
「んなこと、気にするな。彩加の感じる声が聞きたい」
 そう言うと優しく髪を撫でてくれた。
 愛液なのか翔さんの唾液か分からないけれど、沢山濡れていてお尻の方まで垂れているようだった。
 あたしの大きな花弁を指で広げると真ん中にある小さな小さな蕾に舌先で触れた。薄い皮で包まれたそこを集中的に攻められる。
 やがて理性や戸惑いなどが一気に崩れていった。
「あんっ、あんっ!あっ・・・ふぅ・・・」
 恥ずかしいのも忘れて与えられる刺激に対してあたしはひたすら喘いでいた。
「彩加は敏感だね」
「い・・やぁ」
 何度か達しそうになったが、その度に翔さんは動きを止めて調節しているようだった。
「そろそろいい?」
「意地悪…。分かってるくせに」
「彩加が可愛いから意地悪したくなる」

 ぺりっとコンドームの袋を破る音が部屋に響き、避妊の準備をした翔さんが膝を割って入ってくる。
「あぁ・・・」
 奥まで受け入れると翔さんの鼓動を膣内で感じていた。
 あたし達は今セックスしているんだ…。
「すごい・・・翔さんのドクドクしてる」
「彩加の中も熱くてどろどろだよ」
「目閉じて」
 キスの時と同じように再び目を瞑るように促され、ゆっくりと腰を前後に動かし始めた。
 ・・・ずんっ、ずんっ、ぐちゅっ・・・
「あっ、あっ」
 官能的な動きに押し流されそうになりながら、あたしは気を紛らわすために今日一日の出来事を思い出していた。
 目を開けて翔さんの方を見ると、顔をしかめて耐えている様子だった。 密着する胸の部分に汗を感じる。
「翔さんも気持ちいい?」
「当たり前だろ」
「良かった・・・」
 あたしは挿入の前から達する寸前まで感度が高まっていたので、すぐに限界を迎えそうになった。
 彼の硬い臀部に手を当てると筋肉が激しく動いているのが感じ取れた。
 翔さんの火傷しそうな程熱い吐息がかかる。
「それ以上動いたらやばいよぉ・・・」
「俺もそろそろ・・・彩加も一緒に・・・!」
 翔さんのペニスが力強く奥まで突いてくる。あたしはそれをきつく締め上げる。
「あっ・・・あぁ・・・っ!」
「くぅっ・・・」
 あたしが昇り詰めていると、頭上から翔さんのしぼり出すような声が聞こえた。
 肉体を激しくぶつけ合わせながら、ほぼ同時に絶頂を迎えた――。

 汗をかいた体にクーラーの風が当たってひんやり心地良かった。 けだるい雰囲気の中であたしは満足感に浸っていると、翔さんが口を開いた。
「しまった。正上位だけでいっちゃったな」
「・・・」
「もう一回する?」
「いいよ」
 このまま身も心も汚れてボロボロになって、東京に帰るんだろうか・・・。
 これでは何のために自然が綺麗な地に来たのか分からない。
 でも今は快楽に浸って、何もかも忘れさせて欲しかった。
 帰京するまでに、あたし達はあと何回交わることができるのだろう。

―――――終わり―――――

【あとがき】
元彼が忘れられないのに、かっこいい男がいたら誰でも良いのか!?
また前置きが長くなってしまいました…。疲れるから今度からもっと短くしようかな。
沖縄の旅を妄想していたら、沖縄に激しく行きたくなりました!
もしかしたら続きを書くかもしれません(^^)     
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