野良猫 名前変換
 私は38歳のバツ1独身女。
 身近な家族はコーギー犬のマロンだけであるという、周りから見ると寂しい独身生活を送っている。
 でも自分ではそれなりに楽しんでいるつもりだ。夫や子供等の手のかかる人物が傍にいないのは何よりも気楽だ。好きな仕事も思いきり出来るし、恋愛をしても誰にも文句を言われることはない。
 だから私はマロンと二人で生きることを決めてしまった。

「こんな時間に来てもらって、いつも悪いね」
 すごい早さで食事を終えた男がすまなそうに肩をすくめる。
 私は彼の食べる様を見て、この人の食べ方って野性味を感じさせられていいな、なんて思っていた。
「いいのよ、近所だし。今までは外食ばかりだったから、たまには自分で料理するのも健康的だもんね」
 私は時々彼の家に来て、食事を作っては二人ご飯を楽しんでいる。
 彼の仕事は午後8時には終了することになっている。しかし、人が多い時は定時には終われない。片付けをしてお風呂に入ると、10時を過ぎている事も珍しくない。
 
 人見知りをするマロンが唯一怖がらなかった獣医さんが、目の前にいる さんなのだ。彼は2年前にこの地に引っ越してきて、動物病院を開業した。
 最初は患者が少なかったから、マロンの肥満解消のための食事療法を熱心に指導してもらった。そうしているうちに、お互い独身だった二人は惹かれ合った。
 動物のことは詳しくて腕も立つ獣医なんだろうけど、人間の恋愛の事となるとすっかり奥手になってしまう彼だった。知り合った時期は早かったのに、恋仲になるまでは1年半もかかってしまった。私も焦っている訳ではないので、そんな彼を観察しながらゆったりした恋を楽しんでいた。

「そろそろ帰るね」
 私は食器を洗い、ゴミを片付けると家に帰る支度をした。
「あ、ああ・・・。早いね」
 慌てた様子でさんが言った。
「もうすぐ11時よ。マロンも寂しそうにしてるかも」
「・・・そうだね。さんを俺に取られて嫉妬してるかな?」
 そう言って二人で軽く笑った。
「家まで送るよ」
 正直言うと、早く家に帰って一服したい。動物病院ではタバコを吸ってはいけないらしく、さんは診察室以外でも吸うことはないから。禁煙している男と付き合うと、少しの間健康的になれる。

 1階に降りて、入り口のドアの鍵を開けようとした彼の手が止まった。
「マロン、ごめん・・・」
 ドアに手をついたまま荻野が申し訳なさそうに言う。
「どうしたの?」
 彼が何か医療ミスでも犯してしまったのかと思ったが、それは検討違いのようだった。
 次の瞬間、私は彼にふっと抱き寄せられて暖かい胸の中にいた。
「もう少しの間、さんを借りてもいいかな?」
「ふふ・・・帰ったらサービスしてあげないとね・・・」
 つまらなそうにふて寝しているマロンが一瞬頭に浮かんだが、すぐに消え去る。
 少し背の高い彼の顔が降りてきて、唇同士が触れ合った。何度もついばむと、力を抜いた唇の隙間から荻野さんの舌が滑り込んできた。まだ食べ足りないとでも言うように、舌を優しく啜ってくる。私も彼を味わうように絡め合った。暗い待合室に怪しい水音だけが響いている。

「君のペットの名前がマロンなんて名前だから、デザートが食べたくなった」
 食欲旺盛な彼にとっては、やっぱり物足りなかったのね。
「ごめんね。今度からは何か甘いものでも用意するわ」
 本当はスイーツなんて作るような可愛い女ではないから、何か買ってくることにしよう。
「いや、いいんだ。さんがデザートだから・・・」
 小声で囁くと、いきなり首筋にキスを落とした。そのまま這い上がり、耳朶に添ってつーっと舌を這わせる。
「あっ」
 突然の甘い感覚に脚の力が抜けそうになってしまった。耳朶を口に含まれるとチロチロと舌先でしゃぶられながら、左手は胸をまさぐっている。
 だめ、折角今日は早く帰ろうと思ってたのに、こんなんじゃ・・・。
 私が抵抗しないと分かると、荻野さんはブラウスの下に手を差し入れ、ブラジャーの隙間から手を侵入させては指先で乳房を揉む。 その無理やりな行為に私の体は急速に火照ってしまった。
 荻野さんの指が真ん中の蕾に軽く触れただけで、背筋に電流が走ってその場に倒れそうになった。彼は私の体を支えながら服を脱がそうとする。
「待って、ここじゃ・・・」
 性急に事を進めようとするさんに、無力ながらも抵抗した。ブラウスを脱がす手を押し止めようとするが、引きちぎられそうになり、思わず脱ぎ易く体勢を変えてしまう。
「そうだね。立位のままじゃさんが辛いかな」
 私を抱きかかえると、傍にあるソファにどさりと降ろした。私が動揺している間に、ブラジャーをさっと外して胸にしゃぶりついた。
「だめよ、こんな所で」
 素肌の胸を撫でられ喘ぎ声が出そうになるのを必死で堪えて、さんの顔を見て訴えかけたが、スイッチの入った彼は止まらなかった。
 熱っぽい目でこっちを見ると、「2階に行く時間が惜しい」と吐き捨てるように言う。彼のいつにない欲情に興奮を抑えることが出来ず、私はいとも簡単に流されていった。

 ツンと尖っている突起を指先でとんとん叩いた。
「はぁん・・・」
 私は彼に演奏されている楽器になったかのように、触られる度に口元から高い声を漏らしてしまう。 下腹部に甘美な刺激が伝わり、秘所からは淫らな液体がじわっと溢れ出すのを感じた。
 病院の前の道を車が通る度に急患ではないかと冷や冷やさせられ、そのスリルが興奮をさらに掻き立てる。
 彼は荒々しく扱いながらも、私の体の反応を感覚を研ぎ澄ませて観察しているに違いない。 だって彼は言葉を話さない動物の相手をしているんだもの。
さんの乳首、もうこんなに固くなってる・・・」
 さんは私の胸に手を当てると、小さく勃起した部分を食い入るように見つめている。局部を見られているようで酷く恥ずかしい。
「いや・・・そんなに見ないで」
 隠そうとする私の腕を押さえつけると、触れて欲しかった先端を熱い口に包み込まれる。
「あぁぁ・・・あんっ、はぁっ」
 私ははしたなく嬌声を上げ、あっという間に下半身から悦びの蜜が流れ出しては薄い下着に染みこむ。
 せっかくお風呂に入って清潔にしたのに、こんなに汚れちゃ台無しよ・・・。
 彼の舌が蕾の表面をちょろちょろ這い回って弄ぶ。私が太股を擦り合わせて快感と格闘しているのを見て、彼はさらに執拗に舐めたてる。きゅうんと刺すような鋭い疼きに耐えられなくなった私は彼の唇から逃れた。

「どうしたの?強引にしたから嫌な思いさせちゃった?」
 荻野さんが不安そうな顔で見つめる。
「違うの。いつも私ばっかり良くしてもらってるから、たまにはね・・・」
 私は優しく微笑むと彼のズボンに手をかけて、ずり降ろした。
さん・・・?」
 彼は驚いたように私の脱がせる様を見ていた。彼に自分からするのは初めてだったのだ。
 真面目でいつも真っ直ぐぶつかって来てくれる彼。女性にリードされるのはどうかしら?
 前が盛り上がったトランクスを引っかからないように慎重に脱がすと、中から大きく反り返ったものが飛び出した。年齢の割にはなかなか立派である。
「さすが、お医者様は強いのね・・・」
 初めて彼のものを間近で見て圧倒されるていると、一物がビクンと脈打った。
「まいったな・・・それ程でもないよ。でも、さんを見ると自然とこうなってしまうんだ」
 好きな人に抱かれたいと思われるのは女として幸せなこと。生きる活力になると言っても大げさではない。恋人からの嬉しい言葉と、薄暗い中でそそり立つ棒は私の淫心を誘っていた。
 私は彼をそっと握って感触を確かめるように唇を当てた。ほんのりオトコの匂いを発するそれはカチカチに硬くなっており、 たっぷり可愛がってあげたくなる。自分を見てこんなにも形を変えると考えるだけで愛しくなる。
 私はゆっくり表面へのキスを済ませると、根元から上部に向かって舌を尖らせてなぞった。軽く握っているものが手の中で元気よく跳ねる。裏の筋張った箇所を、舌先を震わせながらソフトに撫で上げる。
「はぁ・・・う、うう・・・」
 時折、彼が溜め息交じりの低い声を漏らすから、色っぽいペニスをどんどん舐めてあげたくなる。口唇愛は本当に好きな人にしか与えたくない。
「どう?感じる・・・?」
 私は竿を持ったまま、上目遣いで尋ねた。
「ああ・・・気持ちいいよ・・・」
 切なげに眉を寄せていた彼と目が合うと、照れくさそうにしていた。
 先走りをすくい取り、ぱんぱんに張った亀頭を優しく撫でながら、竿に舌を這わす。内股をさわさわしてあげる。でも、まだまだ咥えてあげない。微かな刺激を与える行為に焦らされながら、彼はきっとお口に入れて貰えるのを待ちわびているだろう。
 睾丸を弄ったり、息を吹きかけたりすると肉茎はビクビクと面白いように反応してくれた。鈴口からてらてらした液体が再び滲んできた。 そろそろいい頃かな・・・?
 先端に唇を当てるとつるつるした頭をゆっくりと口腔内へ押し込んでいった。彼の熱い体温が感じられる。唇で包み込んで上下させると彼の息が荒くなった。
 興奮した様子を見せられたら、私までジワジワ熱くなってきてしまう。
 荻野さんに気付かれないように股間をかかとにぎゅっとあてて、お尻をモジモジさせた。フェラチオしながらオナニーしてる女だなんて、知ったら驚くだろうか?
 私はさんを大好物を食べるかのようにじっくり味わわせてもらった。
 顎が辛くても愛しい人のおちん○んならずっと可愛がってあげたい。

さん・・・それ以上は駄目」
 荻野さんは深く咥え込もうとする私を制止した。そして私を仰向けに寝かせるとショーツを一気に下ろした。濡れた茂みが露わになって、ひんやり冷たく感じた。
 もう少しシたかったのに・・・。
「フェラチオだけでイクなんてもったいない・・・。最後はさんの中で最高に気持ち良くなりたい」
 彼は少し不満げな私の気持ちを汲み取ったのか、私の下肢を撫でながら優しく語りかけた。 もうすぐ彼の逞しい一物が入ってくると思うと、肌が期待で粟立つ。
 ぷちゅん・・・・・・
 たっぷりの愛液をたたえた密壷の中に指が滑り込んでくる。
 異物の侵入を待ち焦がれていた私は、思わず腰を浮かせてもっと奥へと誘ってしまう。しなやかな指が体内で縦横無尽に動く度に、快感の波が打ち寄せてくる。
 昼間はマロンと一緒にそわそわしながら座っている病院の待合室で、私は闇に紛れて艶の混ざった声で荻野さんを求めた。
「すごいよ、さんのアソコ。もうビショビショだ・・・」
 私の神経は既に官能に支配されていた。彼が口にするいやらしい言葉にさえ反応して、淫液を次々と垂れ流す。早くあなたが欲しい・・・。私は言葉を持たないマロンのように、声にならない声で懇願するか、体を捩じらせて気付いてもらおうとする。
「ねえ、欲しいよ・・・」
 クレバスに舌を這わせていた彼に訴えかける。
「何が?」
 彼は知らん振りをして、心許ない愛撫を続ける。
「何って、あなたが・・・」
「俺の何?・・・ちゃんと言わなきゃあげないよ」
 さっきのお返しとばかりに長々と焦らそうとする彼。堪えきれなくなった私は、その場所をはしたなく口にする。
「荻野さんのおちんちんが欲しい・・・」
「・・・よく言えたね。俺もさんのおまんこに挿れたい」
 彼は喜びに満ちた顔で私の頭を優しく撫でた。

 受け入れる体勢を整えると、彼の太い一物に貫かれた。私の体は少し抵抗しながらも徐々に深く飲み込んでいく。きつい圧迫感と少しの痛みが女の幸福感を満たした。
「あれだけ濡れてたのに窮屈だな」
 彼はそう呟くとゆっくり腰を前後に動かし始めた。繋がってる部分から、愛の滴がとろりと零れ落ちてソファを汚してしまう。
 後で綺麗に拭いておかなきゃ・・・。明日には沢山の飼い主さんが座るんだから。
 まさかあの真面目な院長がここで女と淫らな事をしているとは夢にも思わないだろう。

 仕事の時とは違う汗を掻いている荻野さんが愛しく思えた。彼の先端が自分の指では触れることのできない奥に当たると、子宮が切なく痺れを起こした。
 スーツを着こなし、会社でバリバリ働いている私も、今は好きな男に腰をぶつけられて悦ぶ一人の女。
 汗の滲んだ乳房に佇んでいる蕾を、彼の器用な指先で摘まれた。
「はぁんっ・・・」
 突然の仕打ちに高い声が漏れてしまい、はっとする。外まで聞こえるなんてことがあったら、さんに迷惑を掛けてしまう。
 でも、彼のが気持ち良すぎておかしくなってしまいそうだ。私達は多分体の相性がいい。初めて抱かれた時からそう感じた。
 彼の足に自分の足をしっかりと絡み付けた。彼の律動に合わせて淫らに腰を振ると、下半身からはずちゅ・・・ずちゅと淫靡な音が漏れ、互いの興奮を煽った。
「うっ・・・さんの中・・・い、いいよっ・・・」
 彼が苦しそうに途切れ途切れに声をあげる。男の喘ぎ声って何か可愛くて好き。女みたいに声を出すのはかっこ悪いって思ってる人が多いだろうけど、それでも出ちゃう時は心を開いてくれてるのか、よっぽど気持ちいいんだろうね。
 荻野さんの切羽詰った声を聞くと私の女の部分も悲鳴をあげ始めた。腫れ上がったクリトリスに彼の恥骨が当たって、電流を流されたように体中が痺れる。花弁がビクビクと引きつりを起こすように勝手に痙攣してしまう。
 彼の腰が一際激しく突き上げ、私の体は絶頂の予感を感じた。
「あぁぁっ激しい・・・私もう・・・」
「はぁ、はぁ、はっ・・・いいよっ・・・一緒にいこっ・・・」
 陶酔の波が押し寄せてきて、私は彼の背中をきつく抱いた。
「あっ・・・イクっ―――」
 叫びながら体が著しい変化を見せる。
 最初に恥裂が勢いよく閉じると、性器全体が痙攣を起こし、全身をぶるぶる震わせながらアクメを味わった。
 彼の肉茎がドクドクっと脈打ちながら、熱いマグマが噴出して奥に当たる感覚に酔いしれた―。


 狭いソファの上から落ちないように彼に抱かれながら、体力が回復するのを待った。
「俺、マロンに嫌われてしまったかな」
「さあ・・・どうかしら」
 火照りが徐々に冷めてくる体に、荻野さんの低い声が心地良く届く。
 奥の部屋の方から時折、入院中の犬の鳴き声が聞こえる。私達の異様な雰囲気を感じ取っているのだろうか。
「良かったらここで一緒に暮らさないか?」
 少しかすれたような彼の声が暗い部屋に響き渡る。
「え?」
「別に今すぐにとは言わない。俺はさんとずっと一緒にいたいんだ・・・」
 荻野さんの分厚い胸から内に秘めた想いが伝わってくる。
 彼のことは大好き。でも・・・同棲や結婚はまだ考えられない。私は少し考えてこう言った。
「ありがとう。気持ちは嬉しいけど私は今の関係が好きなの。でも荻野さんのことは本当に好きよ・・・」
 私の答えを聞くと、彼は少し残念そうに「そっか・・・」と言った。
「まあ、野良猫のような自由気ままなさんも好きだから仕方ないか・・・。いつか飼い慣らすことが出来たらいいんだけどな」
 私は幸せな気分になり、彼にそっとキスをして微笑んだ。
 しばらくの間は彼の近所に住む野良猫でいて、好きな時にたっぷり甘えさせてもらおう。

―――――終わり―――――

彼とらぶらぶエッチを楽しもう♡

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