ストップ&ステップ 2 

「次はそこにあるローションを使って、女性に刺激を与えてもらいます」
 各ベッドに備えられていたボトルの正体は、潤滑用のローションだったのだ。
「ペニスに直接かけるか、女性が手にとってマッサージするように塗りつけるのも良いでしょう。さっきと同じくスタート&ストップ法を10分の間実行します」
 がローションを確認すると、微かに柑橘系の香りがする透明の液体が入っていた。
 スタッフから開始の掛け声が出されると、は手にたっぷりのローションを出して、のペニスの先端に垂らした。そしてゆっくりと全体に広げるように撫でていった。
「うぅ・・・これはきついな」
 早速、は眉間に皺を寄せた。乾いた手で触るのと違い、ねっとりした液体で滑りが良くなると感度も倍以上に増す。
 の怒張は限界まで大きくなり、充血した亀頭がぱんぱんに張り詰めていた。もより一層注意して扱うように心がける。
「あ・・・・・・やばいな、ストップ!」
 素手の時よりも少しは長い時間持ったが、かなり辛そうな表情をしている。このまま自分でオナニーすれば1分と持たないだろう。
 恋人の手で愛撫してもらい、快感が高まって来ると射精したくなる。気持ち良さを出来るだけ長く保たせたいと思うのは、皆同じだろう。しかし、早漏の人にとっては断続的に押し寄せてくる波に流されないようにするのは容易なことではない。一瞬でも気を抜いたら、精液が飛び出してしまうかもしれない。
 他の参加者の中には、この状況に異様に興奮して、「ストップ」を言う前に射精してしまった人もいる。も苦しい状況の中、自分自身と格闘していた。

「イキそうになった時は、頭の中で何か別のことを考えて、そうですね・・・足し算などをするのも良いでしょう」
 スタッフからのアドバイスを実行しながら、参加者達は必死で練習に取り組んでいる。
「もう大丈夫そうだ。スタート・・・」
 何度目かのストップをクリアした頃、はコツを掴んだ気がしていた。
 もまさかここまで長持ちするとは思っていなかったので、自分のことのように喜んでいた。頑張っているのペニスが可愛く思えて、はローションを高い位置からたっぷり先端に垂らした。そして亀頭部分を手で優しく包み込み、そのまま下にゆっくりと降ろした。
 射精までの時間を長引かせるのが目的なのに、我慢しているを見ているともっと強い快感を与えて、感じる顔が見たくなってくる。鈴口や裏筋を弄っての反応を楽しんでいた。
 の秘所からジワジワと溢れ出した愛液がかかとを濡らし、さらにシーツの上にも小さなシミを作っていた。はかかとにクリトリスをぎゅっと押し付けると全身に衝撃が走った。
 行き場を無くした快感に堪らなくなり、つい力を入れてを扱く手の速度を速めてしまった。
「ちょっと、・・・」
 あたかも精液を絞り出すかのように、強くペニスを弄っている
「はぁ・・・はぁ・・・」
 の息が荒くなる。
 (くそっ・・・やっぱり思いっきり出したい・・・)
 今日一番の快感を得られて、練習なんてもういいから、このまま勢いに任せて発射してしまおうかと一瞬考えた。でもいつも後で後悔し、情けない自分を恨んでいた日々を考えると・・・。
「ストップ!」
 間一髪のところでの手を握って止めさせた。
 (・・・くっ・・・やばい、出てしまうか・・・?)
 歯をくいしばって必死で射精感に耐える
 ヒク、ヒク・・・・・・
 肉茎は軽く痙攣し、苦しさを訴えているように見えた。もハラハラしながら見守っている。 数秒後、何も起こらないままヒクつきは止まった。
「あー・・・さっきのはマジでやばかった。おまえ強くやり過ぎだよ」
「ごめんね・・・」
 は自分の軽はずみな行動を反省した。こんなに欲情している体が恥ずかしくなる。
 最大のピンチを乗り越え、何とか10分間の練習をやり終えた二人は笑顔で見つめ合った。
「よく頑張ったね・・・」
「ああ。自分でも出来るとは思わなかったよ」
 まだ問題が解決したかどうか分からないが、一つの達成感のようなものを感じていた。

「これで規定の合宿メニューは終わりです。この次のステップは実際にペニスを女性の中に挿入して、女性上位の形でスタート&ストップ法を練習します。慣れたら、横向きの体位、そして最後に正上位で出来るようになったら終わりです。自宅に戻っても継続して練習を続けて下さい・・・」
 最後に練習方法についての確認が行われた。
「この後ですが・・・中途半端で辛い方もいられるでしょう。ここで最後まで終わらせて頂いても構いません。それでは解散とします」
 スタッフからの言葉に二人は顔を見合わせた。
 (ここで最後まで終わらせる=セックスする?)
 何度も寸止めを繰り返して、二人の体は悲鳴を上げていた。のペニスもまだ直立したままで、先走りが乾ききっていない状態だ。他の参加者達も誰もベッドから降りようとしなかった。
 そのうち「あんっ・・・」という女性の艶かしい声がどこからか聞こえてきた。ベッドがぎしぎしときしむ音も聞こえてくる。耳を澄ませながら、周りで行われていることを想像すると、二人の心拍数が一気に高まる。
 長い時間をかけてバスと電車を乗り継いで、家に帰るまでは到底我慢できそうにない。電車の中で催してしまったらそれこそ大変だ。挿入を主張し続けた股間を確認するとは決心した。
・・・!」
 を押し倒すと、両足を一気に広げて秘所に手を差し入れた。熱くぬめっている粘膜に指を押し当てる。
「あれ?何でこんなに濡れてるの?」
 陰毛は濡れて柔らかくなり、花弁と窪みは水浸しになっていた。予想外の出来事に、の欲情は一気に高まった。
 (もうこれ以上は我慢できねえよ。今すぐに出してやる・・・)
 は密壷に自身をあてがうと、一気に突き入れた。
 本物の温かさと滑らかさがを包み込む。無我夢中での中で暴れ狂うと、すぐに射精感は訪れた。
 気がおかしくなりそうな程我慢した後だったので、バルブはすぐに弾け飛んだ。物凄い快感に全身を内震わせながら、濁流のように勢いよく大量の精を注ぎ込んだ。の絶頂を感じ、達することは出来なかったものの、内部が満足そうにずくんと収縮した。

                       ◇ ◇ ◇

 合宿から帰ると、二人はお互いの家に行き来する頻度がぐんと減ってしまった。が一人で訓練したいと言い出したのだ。時間と体力さえあれば、合宿で勉強したことを毎日繰り返し復習する。そのためにローションや男性の自慰行為用の道具も購入した。この際、恥ずかしいとか言ってられない。
 自分を変えるために、そしてを満足させてあげるために、は諦めずに1ヶ月間練習を続けた。 少し寂しかっただが、が頑張っていると思えば影で応援することができた。
 ある日の夜、が同僚と食事を済ませて一人で歩いて帰っていると、からメールが来た。
『今日時間あったら家に行っていい?』
 久々の家デートのお誘いメールを見て嬉しくなったは、『いいよ!』と返信すると、軽い足取りで家路に着いた。
 が家に帰り着いてから約30分後にが訪ねて来た。
「お疲れ様」
 は優しくに労いの言葉をかけると、も穏やかに笑った。以前よりの表情が明るくなった気がして、会えない時間も無駄じゃなかったんだとは嬉しくなった。
 久しぶりの家デートは新鮮で、二人とも少しぎこちなさが目立つ。はドキドキしながらの背広をハンガーにかけていた。
「シャワー借りてもいい?」
「もちろん」
も一緒に入ろう」
 からの初めてのお風呂へのお誘い。戸惑いながらもは首を縦に振った。

 恥ずかしさを紛らわせるように、は勢いよくシャワーを出した。
 照れくさそうにが傍に寄ってくると、は白い裸体をじっと眺めた。
  形の良い胸に、すらっとしているが柔らかい女性の手足、そして控えめに生えている黒い茂み・・・。今すぐに抱いてしまいたい気持ちをぐっと堪えた。シャワーを浴びて落ち着こう・・・。
「そんなに見ないで」
 の視線を感じたは背中を向けて前の部分を隠した。
「俺が洗ってあげるよ」
 を椅子に座らせ、その後ろには膝を立ててしゃがんだ。
 ボディーソープを手にとり胸元に着けると、シャワーのお湯をとって少しずつ全身に広げていく。優しくマッサージをするように首筋や肩や背中を洗い上げる。は滑らかな感触の心地良さにうっとりと目を閉じた。
 だんだんの体がに密着してゆく。柔らかい乳房に触れる頃にはのペニスは男になっていた。胸を泡だらけにされながら、背中に固い異物を感じ、は思わず溜め息を漏らしそうになる。
 の体に鋭い快感が走り、体をビクッと震わせた。の指先はぷくっと立ち上がった胸の蕾を摘んでは小刻みに動かしている。
「はぁ・・・はぁ・・・ん」
 の艶かしい声が浴室内に響き、だけでなく自らの淫心をも掻き立てた。足の指の間をピストン運動するかのように手の指を差し入れて丹念に洗われる。の背筋にゾクっと電流が走る。一箇所を除いては、存分に洗ってもらった。の手が体を這う度に、熱い吐息を漏らしては体をよじらせた。
 の手がの股間へと潜り込んでいくと、は足をぎゅっと閉じて侵入を拒んだ。
「だめ。ここもしっかり洗うから開いて」
「こんな所、汚いよ・・・」
のなら気にならない。さあ」
 拒んでいるの胸の尖りをぬるぬると弄びながら、が強い口調で促す。
「あ、あぁぁ・・・」
 よがり声をあげながら、の足が少しずつ開いていく。は左手で大きな肉襞を広げると、小さな花弁の隙間に指を差し入れ、恥垢を掃除するように滑らせた。
 自分の指で洗っている所さえ、他人には見られたくない。共同浴場では隠れてささっと済ませるか、それを恋人の指で洗われるなんて・・・。
 羞恥を感じながらも、の滑らかな指使いにの内心は欲情で溢れかえっていた。泡に混ざって、秘かに透明な分泌液を椅子に垂れ流している。
 お尻をモジモジさせながら次の刺激を待ちわびていると、がシャワーでの体を流し始めた。
「あんまり洗うと痛くなるからな」
 は空ろな目でを見ると、いきり勃っているものを握った。
 気のせいか合宿前よりも逞しくなったペニスを見て、はこれが欲しくて堪らなくなった。
 早漏だとかどうでもいい。
 のだから愛しくなって、いっぱい濡れて、挿れて欲しくなる。
 は同じようにを洗ってあげた。シャワーを浴びながら互いの体を求めるように抱き合うと、が口を開いた。
「ベッドに行こう」

 綺麗になった体にの舌が這い回り、はしなやかに体をくねらせる。足の指の間を舐められ、の唾液でいっぱいになると、の源泉からも熱いお湯が湧き出て受け入れる体勢を整えた。
 の潤みにの指が侵入してくる。は焦りを抑えるように蜜路の感触を確かめながらゆっくり摩擦する。熱をたたえた路はの指を締め付けるように怪しく蠢いた。膣口を開く度にじゅぶじゅぶと淫靡な音が響き、愛液の多さを物語っている。
・・・電気消さなくていいの?」
 恥ずかしさのあまり、は耳を塞ぎたくなる。
「今日はこのままでいいよ」
 いつもはの裸を見ると興奮し過ぎてしまう故、明かりを消してからセックスしていた。しかしは、練習によって興奮を制御する方法を身につけた。今日はの女の部分を隅々まで見たいと思っていた。
 の膝を立たせ、ぐっと開くとM字開脚の姿勢をとらせた。
 赤く濡れた秘所を目の当たりにしたは感動を覚えた。左右にうっすらと開いた花弁の奥に小暗い穴があり、そこから愛蜜が湧き出ていた。
 ペニスは痛い位に勃起して先端は先走りで濡れていた。以前ならこの時点で射精してしまったかもしれない。
 はぷっくり膨れた花芽に舌をあて、くるくると円を描いて撫でた。
「ひゃっ・・・・・・」
 が甲高い声を漏らし、咲いていた花弁が一気にきゅっと閉じた。充血しきったクリトリスの上にの舌が滑らかに這い、一気に高みへと追いやられて行った。下半身が蕩けそうになる程気持ちが良い。の艶めいた吐息を聞きながら、は自身の昂ぶりにゴムを被せていた。

 挿入の段階になると、二人の間に緊張が走った。恐る恐るの上に覆い被さる。
 秘孔にあてがいそのまま入ってくるかと思えば、ペニスの先端でクリトリスを弄ぶ。
「ああぁ・・・」
 (何やってるの・・・?早く挿れてよ・・・)
 焦らされて堪らないは腰を動かすと、密壷の中へのものを招き入れようとする。先端が窪みに合わさると、肉茎はゆっくり侵入して行った。
 は乱暴に動かしてしまわないように静かに息を潜める。
 挿入の時点では、は少しは余裕がありそうだった。
 それに比べては、太い異物が奥まで入っただけで絶頂への階段を昇りかけているのを感じた。クリトリスへの刺激の余韻が残っており、少しでも触れたら破裂してしまいそうだった。 の腰が前後にゆっくりと振れる。
 ずちゅっ、ずちゅっ、ぶちゅっ・・・
 次々と新しい愛液が生成されのお尻を伝って流れ落ちる。 結合部はたっぷり潤い、それでいて強い締め付けによって程良い摩擦感を醸し出していた。
「だ、大丈夫っ・・・?」
 本当は気遣う余裕なんてないのに、の様子を伺う。
「うん。何とか・・・大丈夫そうかな」
 徐々に強い律動を送りながらが答える。の中に入って気持ち良いけれども、 急に暴走を始めるということは避けられそうだった。手淫や器具を使ってのマスターベーションで、スタート&ストップ法を何度も繰り返したおかげだ。希望の光が射していた。 
「あたしね・・・とエッチできるだけで幸せなんだよ・・・だから・・・」
 無理しないでいいよ。と言おうとした時、の真剣な眼差しを見て何も言えなくなってしまった。
 胸の奥から切なさが込み上げる。
「俺もと一つになれて幸せだ。だから・・・もっともっと長い時間繋がってたいんだ」
 は挿入を浅くすると亀頭で壁をぐりぐりと刺激した。Gスポットにもろに当たるとの体は快楽で埋め尽くされた。頭の芯が痺れてくる。
「あたしっ・・・ダメかも・・・」
 にしがみ付きながら悦苦に必死で耐える
「イケよ。俺のでイってくれ」
 はピストンを早め、力強く深々と突き入れた。振動が敏感になったクリトリスに伝わり、精一杯抗おうとするが波に呑み込まれていった。
「イっちゃう・・・あああっ・・・あっ・・・あぁ・・・」
 ひときわ激しく反り返ると、ヴァギナが急速に収縮を起こしては昇りつめた。
 の絶頂を確認するとすぐさま、 は自分を解放しペニスを震わせながら射精した。何とか持続できたものの、強く締め付けられると爆発しそうになっていた。思う存分暴れるためには、まだまだ練習が必要かもしれない。

 初めて繋がったままで昇り詰め、軽く額に汗をかいている彼女をは愛しそうに抱き締めた。も忙しく上下するの胸の中で幸福感を感じていた。
「ごめんな。俺、早くイカないことばっかりに気をとられて、愛撫を疎かにしてた・・・。別に入れなくても何とでも感じさせることは出来たのにな」
「ううん・・・。あたしもエッチを楽しむことを忘れてたかも」
「あのサイトを見つけてくれたに感謝しなきゃな」
 怪しげな合宿以来、確かには変わった。プライドを捨て、義務的に行っていたセックスを楽しみたいという余裕が出てきた。を気遣うことも出来るようになった。
 これから二人はさらなるステップを踏んで、待ち受ける困難を乗り越えていくことだろう。

―――――終わり―――――

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