決戦の日 2 名前変換 
 目を伏せたままのあたしを覆う最後の布を取り去ろうとする。
 背中に手を入れられて、ブラジャーのホックに手をかける。
 すぐに胸を締めていたものが緩くなり、ブラがずれて丸見えになってしまう。
 あたしのちっちゃな胸を守っていてくれていた女の道具。ああ、何て儚い布切れ。
 覚悟はしていたけれど、こんな貧相な胸を見られてしまうのは気が退ける。
 お兄ちゃんにじっと見られる前に、腕で隠してしまった。
「恥ずかしいのか?」
 腕をどけようとするお兄ちゃん。
「あ…当たり前でしょ!初めてなんだから…」
「へえ…おまえ、ほんとに処女だったのか」
「そうだよ…」
 何それ。お兄ちゃんってば、今まであたしが経験あるって疑ってた?
「初めてだったら相当痛いぞ。それでもいいのか?」
 お兄ちゃんはあたしの腕を力尽くでどけると、真剣な眼差しで問うた。
「いいよ。あたし…初めてはお兄ちゃんに貰って欲しいって思ってたから」
…」

 裸の胸に視線がチクチク刺さって痛いけれど、もう構わない。
 お兄ちゃんになら、全てを見せても後悔しない。
 あたしの全てを見てもらいたい。
 恋愛経験が乏しいあたしは、お兄ちゃんの心を動かすためにはこうする事しか思いつかない。
 お兄ちゃんは、長く息を吐いた。
「分かったよ。でも、もうお兄ちゃんっての止めろ。妹を犯してるみたいだろ」
「じゃあ、何て呼べばいいの?」
「普通に、名前で呼べよ」
 名前かー。普通の恋人同士なら自然なんだろうけどね。
お兄ちゃんね♪」
「だから、お兄ちゃんはいらねえっつーの。やっぱりおまえは、真性のブラコンなんだな」
 冗談で言ったつもりなのにな…。
 お兄ちゃんの大きな手があたしの小さな乳房を包み込む。柔らかいところをモミモミされる。
 どうしよう。想像よりずっと恥ずかしい。
 みんな、初めての時はこんな気持ちなの!?
 こういう時って声を出した方がいいのかな?
「はぁっ…はぁ…」
 遠慮がちに息を吐いてみた。
 お兄ちゃんの掌が胸の中心に時折触れて、鋭い快感が走る。
 あ、いいかも…と思っていたら、先端を熱い口の中に含まれていた。
 舌先で転がされたり、ちゅうちゅう吸われたり、段々本格的にエッチになってきてるんじゃない?
 今までに感じたことのない刺激を与えられて、あたしは体をもじもじ 動かした。下半身を動かさずにはいられなかった。
「あぁっ…ふっうぅん……」
 いつの間にやら、本気で感じている声が漏れている。
 お兄ちゃんは?
 何かいつもの優しい感じの彼と違って、顔つきが鋭い。息が荒くなっている。これって興奮してるんだよね、あたしの体に。
 もうどうにでもなって!
 もっと先端を弄って欲しい。いっぱい舐めていっぱい摘んで震わせて欲しい。
 あたしは初めて経験する前戯に身を熱くしていた。
 お股の間から、ぬるっとしたものが出てくる感じがする。生理じゃないはずなのにおかしいな。おしっこでもないと思う。ひょっとしてこれが 「濡れる」というやつなのかもしれない。
 お気に入りのショーツにまで垂れてきてるかも…。
「ああっ…お兄ちゃん…」
 下腹の方に向かっていくお兄ちゃんに訴えかけた。
「何だ?」
「何か変なの…体が…」
「変?」
「あそこが熱くて…なんかトイレ行きたい…」
 もどかしくて太股を擦り合わせていると、お兄ちゃんはくくっと笑って言った。
「それは、おまえが感じてるからだよ」
 ショーツに手をかけて、少しずつ下げられていく。
 とうとう肝心な部分を見られてしまう時が来た。エッチするということは何もかも曝け出す覚悟はしていたけれど、やっぱり勇気がいる。
 変な色してて、毛が生えてて、湿っていて…他人に見せるような所じゃないもんね。
 その後、お兄ちゃんも素早くトランクスを脱いでいた。
 これでお相子だね。
 お兄ちゃんの手があたしの内腿を優しく撫でている。
 まだ触られていない部分の体温が上がって、火傷しそうになっている。
 近くを指が通る度に、早く核心に触れて欲しくて堪らなかった。
 ついに、お兄ちゃんの骨ばった手がアソコに当てられた。
 そんな所までじっくり触るなんて…。
 アソコの真ん中についてる、変なビラビラしたものと突起物を撫でている。
 あたしが痛がらないようにほんとに軽く、ソフトに触っている。
 片方の手で大きく広げると、指が膣の入り口に宛がわれた。
 ああっ…入ってくる…
「いやっ……」
 思わず顔を手で覆って喘いでしまった。
「痛い?」
 心配そうなお兄ちゃんの声が聞こえる。
「痛くはないけど、変な感じ…」
 自分の体のなか(膣)に他人の指が入ってくるなんて、不思議な感覚。しかも、お兄ちゃんのが入ってるなんて…///
「こんなに濡れてるもんな」
 お兄ちゃんは膣内で指を出し入れし始めた。
 じゅぼ…っと変な音がアソコから発せられる。内側の壁をぐりぐり 押したり、ぎりぎりまで指を抜いた後、またゆっくり挿入したりして 気持ち良くて腰が浮きそうになった。
 熱い液体がアソコからどんどん溢れているのが分かる。
「すげえ濡れてるな…太股まで垂れてきてる」
「は、恥ずかしいよ…」
 うわー、きっとエロい女子だって思われているんだろうな…。
 綺麗な思い出になるはずの初体験が…!

「よし、そろそろいいだろう」
 お兄ちゃんが布団から出ると、救急箱から小さな小箱を取り出した。
 うーん、あのお兄ちゃんでもちゃんと持ってるんだ…って、大学生なら当たり前なのかな。
 あたしは、ふいにアレを見てみたくなった。
 友達の中には持ってる子もいるけれど、あたしは実物を見たことがない。
「お兄ちゃん、待って」
「何だよ」
「あのね…見せて欲しいの」
 お兄ちゃんは少し考えると、男らしく?口に出した。
「XXXか?」
「ち…違う!」
 まったく、あたしは初めてだっていうのに、デリカシーがないんだから。
「じゃあ、何だよ」
 小さな包みを持ったお兄ちゃんが近づいてきた。
「えーと…こ…んどーむ」
 あたしは布団に顔を隠して言った。
「コンドーム?いいけど、何でこんなもん見たいんだ…」
 そう言いながら、ピリッと包みを破る。
「どんなのか見てみたい・・・」
「ふーん、ついでだから着けてみるか」
「う、うんっ!」
 胡坐をかいたお兄ちゃんの前に、あたしは女座りをした。
 お兄ちゃんは、パッケージから取り出した緑色の丸いゴムをあたしの掌に乗せた。
 はじめて見た。これがコンドーム…。
「こっちが表だよ。この先っちょのちっちゃい袋が出てる方」
「へぇ……」
 裏表があるんだね。
「この袋、何のためにあるか知ってるか?」
 お兄ちゃんは、袋を摘むとあたしに尋ねた。
「知らない」
はほんと何にも知らないんだな。男が出した時に精液を溜めるためのものだよ」
「えっ…」
「あー、今おまえ想像しただろ?赤くなってるぞ」
 図星だった。そう、あたしはモロにお兄ちゃんで想像してしまい、頭がパンクしそうになっていた。
 やっぱり、これは大人の行為だわ…。
「じゃあ、これをここに置いて」
 お兄ちゃんの…おっきくなってるアレを指差した。
 うわ…血管浮き出てるし、赤黒くて、ちょっとグロテスクかも。
 あたしは初めて見る勃起した男の人のモノを興味津々でジロジロ見てしまう。想像していたよりもずっと大きくて長い。
 こんなものが本当にあたしの中に入るんだろうか。
 お兄ちゃんに全てを任せるしかないんだよね。
 あたしは言われた通りに、先端にコンドームを乗せた。
「空気が入らないように、ここを押さえて、こうやって下ろして…」
 お兄ちゃんに手を添えられて、ドキドキしながら装着した。
「へぇーこんな風になってるんだね」
 上手くできているコンドームを見て、何だか感激してしまった。
 お兄ちゃんと一緒に何とか根元までゴムを下げることが出来た。
 緑色になってしまったソレは、弾力のあるおもちゃの棒みたいだった。
「これでおまえもゴムを着けられるようになっただろ。ま、他の男に着けるのは許さないけどな」
「えっ?」
 どういうことか尋ねる間もなく、唇が重なって、布団に組み敷かれる。
 すぐにキスは深くなり、熱い舌を絡め合って、官能の世界へと連れて行かれる。蕩けるようなキスによって、冷え始めていた体が再び火照った。
 お兄ちゃんの手がアソコに入ってきたと思うと、おしっこが出る所の上にあるコリコリした所を指で押さえた。円を描くようになぞったり、小刻みに震動させたり重点的に弄っている。
 下腹部がきゅんと痺れて、何だかゾクゾクする。
「んんっ…お兄ちゃん……」
「どうした?」
「…何でもない」
 そこ、今まで一番気持ちいいかも…。またエッチな液体が出てきちゃうよ。
 お兄ちゃんはあたしの気持ちに気付いているのか、ずっと気持ちいいことをしてくれる。手のひら全体で、ぎゅぎゅっと押さえつけたり、中に指を入れてぬるぬる動かしている。
 雲の上を漂っているみたいで、あたしの太股は少しずつ開いていき、お兄ちゃんの愛撫を欲しがった。
 その時突然、大きいものが進入しようとしてくる。
 膣壁が無理に広がるために強い痛みが襲ってきて、現実に戻された。
「うぅ……」
 あたしは必死で歯を食いしばった。痛くて怖くてお兄ちゃんが入ってくるのを拒もうと、自然と下半身に力が入ってしまう。
「痛いんだろう?」
 お兄ちゃんの動きが止まった。
 あたしは黙って首を振った。
 これくらいの痛み、我慢しなきゃ。大人になるために超えなきゃいけない道なんだから…。
 でも今にも裂けそうで、このまま続けたらどうなってしまうか分からない。
「さすがに処女はキツイな…痛いなら止めるか?」
「やだよ…」
「やだって言われても、痛いなら出来ねえだろ。無理すんな。別に今日やらなくても…」
 分かってない、お兄ちゃんは。あたしの決意がどんなに固いか。
「駄目!今日じゃなきゃ…この機会を逃したら、お兄ちゃんと1年間会えなくなるのに。そしたら、あたしのことなんて忘れて、彼女ができちゃうかもしれないじゃない……」
 言っちゃった。
 従兄弟なのに、勝手に好きになって、鬱陶しい女だと思われても仕方ない。
 二人の体は、まだほんの少し繋がったままだ。
「おまえも大概俺のこと分かってないんだなー。処女まで奪ってもらいに来たくせに」
 そう言うと、お兄ちゃんはあたしのおでこをピンと指で弾かれた。
「痛・・・」
「俺だって、好きでもない女とやる訳ねえだろ。それぐらい気付けよ……だから、今日だけしかチャンスがないって事はないんだよ」
「え……?」
 あたしはしばらくの間考えて、ようやくその意味が分かった気がした。
 そうなのかー。へー、お兄ちゃんもあたしのことを?
 これって両思いなんだ。じゃあ、別に無理しなくても…。
 その瞬間、張り詰めていた気持ちが一気に崩れていった。

 あたし達は掛け布団を被って、しっかり抱き合った。
 体は繋がっていないけれど、さっきよりも心はずっと満たされていて 温かい。
 そうだ、本当に欲しかったものは、体じゃなくてお兄ちゃんの気持ちなの。
 お互いの体温が混ざり合って、このまま溶けて一つになりそう。
 嬉しいんだけれど、お兄ちゃんのまだ元気なものが脚に当たって、ちょっと落ち着かなかった。
「お兄ちゃん…それ、辛くない?」
「ん?何が?」
「その…まだ、固くなってる…」
「ああ、別にこんなの慣れてるしな。おまえがうちに来てさ、無防備な格好してる時なんていつもこうだからな…」
「そ、そうなんだ」
 知らなかった。エッチなあたしは、お兄ちゃんのそういう場面を想像して照れまくった。
 こうしている間にも時間は確実に過ぎて行く。
 餞別の代わりに、お兄ちゃんのために何かしてあげたくなった。
「ねえ、手でやってもいい…?」
 今回、何度目かの勇気を出してのお願い。
「…いいよ」
 お兄ちゃんは優しく答えると、あたしの手をその場所に導いてくれた。
 不器用なあたしの手を握って一緒に動かしてくれた。
 男になっているソレは、驚く程硬くて力強かった。
 時々、ぬるっとした少量の液体を感じることが出来た。
 あたしを同じように濡れてると思うと嬉しくなる。
「どう…?」
 手を上下運動させながら、お兄ちゃんの様子を伺う。
「どうって?」
 お兄ちゃんはあたしに顔を近づけて尋ねてきた。途端に心臓が跳ね上がる。
「聞かなくても分かるでしょ!」
「気持ちいいかってことなら……最高!!」
 子供っぽく笑うと、お兄ちゃんは目を瞑った。
 半開きになった口から、時折、熱い溜め息を漏らしているからドキドキさせられる。
「はぁ……」
 切なげに眉をひそめると、握っていたものがビクンと痙攣した。
 エッチなあたしは、その瞬間が来るのを待ちわびていた。
 しばらくすると、お兄ちゃんは、ティッシュ箱から何枚か抜き取った。
 手の動きが早過ぎて、ついていけなくなる。
 物凄い高速で擦った後、小さく声をあげてお兄ちゃんは達したようだった。
 照れくさそうに、使用したティッシュをさらにティッシュで包むと、ゴミ箱に投げ捨てた。
 最後の瞬間ははっきりと見ることは出来なかったけれど、お兄ちゃんの気持ち良さを一緒に感じることが出来て満足だった。

 携帯を見ると午前1時を過ぎていた。
 お兄ちゃんは隣でぐっすり眠っている。
 起こさないように、そっと布団を出てあたしは家に帰った。
 あたしがまだ家で呑気に眠っている頃、お兄ちゃんは大きな荷物を持って空港への電車の中にいるだろう。
 そして約10時間後には別の国にいる。1年もの間、会うことは出来ないかもしれない。
 今日が決戦だと思っていたけれど、本当の戦いはこれから始まりそうだ。

 ―――――終わり―――――
 
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