3月1日 2 名前変換 
 上の方を見つめていた先生の視線が、徐々に下がっていく。
 先生の真剣な視線が注がれる度に、あたしの体は熱く火照っていく。
 当然のことだけれど、あそこを描く時はじっと観察されるのだと思うと、足の間がむずむずしてきた。
 この感覚は…エッチな漫画を読んだ時に、きゅうんとなるのと同じ。
 やだ、あたし、もしかしてエッチな気持ちになってる?
 スケッチされてるだけなのに…。
 先生に知られたくない。
 濡れてきちゃいそうで、太股をぎゅっと擦り合わせて、閉じるために筋肉に力を入れた。
 あっ……
 良かれと思ってやったことが、逆効果になってしまった。
 内側が刺激されて、ますます感じてしまったんだ。
「どうした?寒いか?」
 ドキッ。
 さすが、先生。ちょっとモジモジしただけなのに、あたしの様子がおかしいのを見抜いていた。
「ううん。大丈夫。ちょっと疲れただけ…」
 まさか、ばれてないよねと高鳴る胸を抑えながら、先生の顔色をうかがう。
「そうか…じゃあ、早く終わらせるから、じっとしてろよ」
「うん」
 先生は今、あたしだけを見てくれている。
 素のあたしを見て、隅々まで観察して、誰にも見せることのないスケッチブックに描いてくれている。
 彼の仕事師になった眼差しを見ると、胸が切なく痺れて素肌から気持ちが溢れそうになる。
 先生はあたしのあそこを描く時どう思ったのだろう。
 ドキドキした?ちょっとでも興奮した?
 ダメだ、さっきからエッチなことばっかり考えている。
 あの絵の人は、きっと先生と肉体関係があったんだと思う。
 先生にキスされて、服を脱がされて、色んなところを触られて…。
 考えるだけで涙が出そうになってくる。あたしも早く抱かれて、大人にして欲しい。
 閉じた足の間に湿り気を感じる。じっと立っているのが辛くなってきた。
 今すぐ抱きしめて、スイッチが入ってしまったこの体の熱を先生の手によって冷まして欲しい。
「…終わったよ」
 先生の声にはっとして現実に引き戻される。
 ふらつく足取りでソファに戻ると、バスタオルを巻いて座り込んだ。
「見てみるか?」
 先生は優しく微笑み、あたしの横に座った。
 どんな風に描かれているか見たい。うんと頷く。
 素肌に先生の肩が触れて、一気に胸が高鳴る。
 先生が差し出したページには、一人の裸体の女性がいた。
 何も身につけていない、さっきまでのあたし。
 無表情な顔つきで、真っ直ぐ立ち尽くしている。
 あの絵に引けをとらない程、美しく感じた。
「綺麗…って自分で言うのも何だけど、何か自分じゃないみたい」
「似てないか?」
「そんなことないよ…」
 その絵は、恥ずかしくなる程、自分の特徴をよく捉えていた。
 緊張している面持ち、2つの小さな膨らみの中心に佇む、色づいた蕾。丸みを帯びた腰に、中心にうっすらと生えるアンダーヘアー。全て先 生の手によって描いてくれた。
「嬉しい…宝物にしよっと…」
「そっか。の卒業祝いになったのなら俺も嬉しいよ」
 スケッチブックを閉じると、先生の肩に寄りかかった。
 先生もあたしの肩に手を回して、指先を遊ばせている。
 時々、その手にぐっと力が入りそうだったけど、それ以上先に進むことはなかった。
「さあ、風邪ひいたら困るから着替えて来なさい」
 ぽんと肩を叩くと、先生は小さく溜め息をついた。
 あたしはここで素直に引き下がる…わけもなく、
「もう一つ卒業祝いに欲しいものがあるんだけど…」
「…何?先生の給料で買えるものだったらいいけど」
 そう言って、苦笑する先生。
「お金で買えるものじゃないもん」
「何だろうなあ」
 先生は腕組みすると、小首を傾けた。
「付き合う時にした約束、覚えてる…?」
「…うん、ちゃんと覚えてるよ」
 卒業するまでは、体の関係は決して持たないということ。想いが 溢れそうになる時もあったけれど、半年の間律儀に守ってきた。
「でね、もう卒業したんだし、あたしも…先生みたいな大人になりたい」
…」
 先生は驚いた顔であたしを見つめる。
 自分の体が震えてるのは、寒さのせいだけじゃないと思う。
「分かる…?」
 黙ったままの先生に尋ねると、彼は急に立ち上がった。
「俺の想像が正しければ…」

 次の瞬間、先生に抱きかかえられて、そのまま寝室まで運ばれた。
 あたしをベッドに降ろすと、急いでエアコンをつけた。優しい暖色系の間接照明に切り替えられる。
「卒業祝い、これでいいんだよな…?」
 先生が近寄ってくる。あたしは首を縦に振った。
 まだ冷たいベッドの中に二人で入った。
 いつもの軽いキスを交わして、頭の中が切ない恋心でいっぱいになっているうちに深いキスへと変わっていく。
 何もかもが初めて見る先生だった。
 いつもの穏やかな彼じゃない。
 大人の男になった先生は、あたしを激しく攻めて求めてくれた。
 舌があたしの口腔内を滑らかに動いて絡みつく。その時の気持ちを言葉では上手く言い表せない。先生のキスは正にあたしを狂わせる。
 唇が触れ合う度に、息が上がって全身が甘く痺れていた。
 先生は大きな手であたしの髪の毛を梳かした。
「さっきな、の絵を描く時に躊躇ったのは、心配だったからだ…」
「心配?」
「言いにくいけど、の裸なんて見て我慢出来るかどうかって。 先生も普通の男だから。言ってること分かるだろう?」
「うん、大体は」
 先生…そんなこと考えていたんだね。
 冷静な顔であたしを見ていると思ったけれど、本当は…。
 あたしも先生に見つめられていたら、変な気持ちになっちゃったよ。
 でも、もう我慢することないから。先生もあたしも。
 普通のカップルのように最後まで愛し合おう?
「一つ聞いてもいいかな?」
「何?」
は初めて…?」
 先生に問われて、あたしは困ってしまった。
「無理に答えなくてもいいよ」
 あたしの頭を撫でてにこっと笑った。
 先生、何でそんなにいつも優しいの?
「ごめんなさい…初めてじゃ…ない」
 何となく後ろめたくて、申し訳なくて、先生の顔を見れなかった。
「そうか…も今時の高校生だからな」
 無理して笑顔を作ってる気がする。
 あたしも先生が初めてだったら良かったのにと思う。
 心から愛している人に捧げたら後悔しなかったんじゃないかって。
「ま、どんな事があっても俺は今のが好きなんだから、気にしないよ」
「先生は大人だねえ」
 同世代の男子にはない余裕に惹かれる。
「いい年したオッサンだからな」
 そう言って笑った。
 過去は消すことは出来ない。
 これからは、先生を愛し続けることだけを考えればいいんだよね。

…」
 先生のキスが色んなところに降ってくる。唇、首筋、髪の毛、耳朶… 熱くて力強い唇が、あたしの体を大人に変えていく。
 あたしは先生に描かれるキャンバスだ。
 どこに触れられても感じてしまう。
 先生は素早く服を脱ぐと、あたしのバスタオルも剥がした。
 二人とも生まれたままの姿で抱き合う。
 夢にまで見た先生の体と密着して、身震いする程嬉しくて興奮した。
 先生の体もあたしの体も熱くて、それだけで気持ちが良くて、さらに太股に当たっている先生の男が呼吸を乱れさせる。
 スケッチされている時以上に、下半身が疼いて仕方なかった。
 あたしを高めるためのキスが胸に落とされた。
 中心に近づく期待で内部から熱い液体がこぼれ出した。
 腰を動かすと、先生はさらに緩慢な手付きで、際どい所に触れてくる。
「あ……」
 我慢出来なくなって、はしたなく懇願しそうになる。
 自分でもあそこがパクパク動いてるのが分かる。
 先生の顔が胸の突起に近づいて…。
 ちゅっ…
 唇が先端に触れた瞬間、今までにない衝撃が走った。
 下半身に向かって電流が流れる。その刺激は秘所にきゅんと切なく響く。
「はぁっ…ん…あぁっ……」
 片方の突起を先生の熱い口に含まれた。
 とても優しく焦らす様にゆっくりと、舌で先端を転がされる。
 冷静に彼の体温を感じる余裕なんてとうに無くなっている。
 望み通りの刺激?いや、もっと強烈だ。あたしは身をくねらせながら大人の愛撫を堪能する。
 先生の舌と指の動きが早くなって、泣きそうになる。あまりにも感じ過ぎて。それと、大好きな先生に気持ち良くしてもらうことが嬉しくて。
 女の子のアノ日みたいに、熱いものが体外へ出ていくのが分かる。
 先生のベッドを汚してしまわないか心配…。

 胸にあった顔が離れていき、段々と下に向かっていった。壊れ物に触れるように下腹部を唇でなぞっていく。
 あの場所に近づいているのだと悟ると、あたしはぎゅっと足を閉じた。
 先生があたしの太股を開こうとするのを拒んだ。
「そんなにぴったり足閉じてたら出来ないよ?」
 先生は苦笑した。
 でもその体勢はまずい。足を開かれたらモロに見られちゃう訳で…。
「だって…」
 ヌードは見せてしまったけれど、さすがに局部をまじまじと見せる勇気はまだない。前の彼氏にだって絶対に見せなかったんだから!
 ・・・それで物足りなくって飽きられたのかもしれない。
 不思議そうな顔をしている先生を見て、急に心配になった。
「先生、怒った?」
「…怒るわけないだろう。今度の楽しみが出来たからね。もっと大胆かと思ってたけど、恥らうも可愛いな」
 先生の笑顔に救われた。
 ごめんね、そのうちあたしがもっと大人になったら、全てを見せられるかもしれない。
「見ないから安心しなさい」
 そう言うと、唇にキスをくれた。
 今度はあたしも先生の舌を弄ってみる。えっちっぽく吸ってみると、先生のものがピクッと反応して嬉しくなる。
 先生の心に火をつけてしまったかもしれない。より激しく情熱的に唇 を吸われる。
 あたしに夢中になってくれている?だとしたら天にも昇る気分だ。
 二人の口元は溶けて一つになったようだ。このまま全身が交わってしまえばいいのにと思う。
 先生の手が膝を割って侵入してくる。キスで泥酔してしまったあたしは少しずつ足を開いてしまう。
 中心を指先でそっと撫でてくる。嫌な摩擦感を感じさせない。それどころか、表面をぬるぬると滑っていくから、めちゃくちゃ濡れているかもしれない。恥ずかしくなって目を閉じた。
 泉の入り口を探られて、先生の指がゆっくり入ってきた。
「痛い?」
 気遣いながら優しく扱ってくれる。
 あたしはふるふると首を横に振った。
 先生だって分かってると思う。これだけ溢れていたら大丈夫な事を。
 自分の指よりずっと太い先生の指も滑らかに沈み込んだ。恥ずかしくて嬉しくて気持ち良くて、きゅっと締め付けてしまう。
 恥ずかしがっていても体は正直だ。もっと奥へと誘うように蠕動を続けている。
「体はもう大人なんだね」
 先生はあたしの中を探りながら、嬉しそうに告げる。
 入り口に近い所の内壁を指の腹でぐりぐり押される。
 何か妙な感じ…。腰が浮きそうになって。気持ち良いのかもしれない。
「やぁ…あっ……」
 ほらまた、変な声が漏れてしまう。
 なんか、段々先生の指の動きが激しくなってる。やめて、そんなにしたら…
 クチュ、クチュ、ずちゅっ…
 自分のあそこから発した音を聞いてしまい、耳まで一気に血が昇った。
 先生にも思いっきり聞こえてるよね?
 ほら、先生がそんなことするから、お尻の方まで垂れている感触がする。
「先生、やだよ…」
 されたくないけど、気持ち良くて止めて欲しくなくて、頭がおかしくなりそう。内側からどんどん熱いものが溢れてる。
「恥ずかしがることないよ…が大人の女性になった証拠だ」
 先生はあたしを諭すように、優しい口調で言う。
 あたしはまだ幼いから、彼の言うことだったら何でも信じてしまうんだ。
 受験勉強だって先生の言う通りにして、好きだよって言われたら有頂天になる。
 これが夢じゃないことをいつも祈っているの。

 先生の前では我慢することが難しくなる。
 先生の全てが欲しくなる。
 触れ合っているだけじゃ足りない、もっと確かなものを求めてあたしは淫らに鳴き続ける。

「ちょっと待ってね…」
 先生の体が離れて、最後の段階に来たことを知る。
「この期に及んで、まだ迷ってるよ…情けないな」
 困ったような切なそうな瞳であたしを見つめている。
「そんなことないよ…先生が真面目な証拠なんだから…」
 あたしはそういう関係になっても良いと思ってたけど、先生が卒業まで待つと言ってくれて、今は良かったと思ってる。
 体だけ求めるような、軽い人じゃなくて良かった。
「あのね、タオル敷いて欲しいんだけど…」
「タオル?」
「うん…」
「ああ」
 先生は悟ってくれたようだ。そしてシーツを触ると軽く笑った。
「もう濡れちゃってるからいいよ」
「うそ!?」
 ショック!!初めてで、先生のベッドを汚しちゃったなんて最悪だ。
「大丈夫だよ、本当に気にならないから。むしろ感じてくれて嬉しい」
 あたしの髪の毛を撫でながら慰めてくれる。
 そして、今日何度目かのキスを交わした。
 先生とだったら飽きないから不思議。胸の奥がツーンと甘く痺れて足に当たっているゴツゴツしたものが欲しくなる。
 愛を交わしながら抱き合うと、先生はあたしの足を広げて体勢を整えた。
 クレバスに押し当てられた感触で、それが先生のモノだと分かった。
「いくよ…」
 先生がぐっと力を込めた。強い圧迫感に襲われて、思わず眉をしかめた。
「痛いか?」
「ちょっと…でも大丈夫…」
 先生のはすごく大きくてきついけれど、初体験の時のような痛みはない。
 大好きな人が入ってきてると思うと、ゾクゾクする。
 どうしたんだろう、ちょっと挿れられただけなのにもう感じている。 鳥肌が立って、体が悦んでいる。繋がっている部分が火傷しそうに熱い。
 欲張りなあたしは、もっと奥まで来て欲しいと願う。
 先生の手技でたっぷり潤っていたせいで、傷付くことなく一つになれた。
 先生のがビクビクと脈打っているのを感じる。
 まるで自分の体の一部になったみたい…。
「体、きつかったら言えよ」
「うん…」
 先生はいつでもあたしの先生だ。高校を卒業しても、優しく見守ってくれ る。
 これからも、甘えてもいいかな?
 遠慮がちに先生が腰を突き上げる。
 程よい摩擦感が心地良かった。
 先生のくびれが泉の浅い所を刺激して、痺れるような快感が湧き上がって くる。
 先生の額に汗が滲んでいるのが見えた。
 出し入れする度に、先生の顔が切なく歪む。
「ああ……」
 彼の震える溜め息が、あたしの心を激しく揺さぶる。
 ベッドの上で交わって、卑しく揺れながら二人で一つの作品を作り上げる。一人では絶対に築けないものを。
 愛の結晶なんていう在り来たりの名前が思い浮かんだ。でもあたしは、在り来たりの幸せをずっと望んでいた。 愛はいつか壊れてしまうかもしれないから価値がある。
 沢山の女性の中から自分を選んでくれたことを幸運だと思う。

 先生のリードによって色んな体勢で交わった。
 高みへ連れて行かれそうになると、角度を変えてくれる。
 もう先生もあたしも我慢することはない。自らの欲望に素直に従った。
 互いの体がぶつかり合って放つ湿った音と喘ぎ声が響き渡る。
「好きだよ…先生」
「ありがとう。俺もが好きだよ」
 その言葉だけで蕩けそうになる。
 まだ高校を卒業したばっかりの小娘だけど、柔らかい膣内で暴れている先生をちゃんと受け止めることができる。
 打ち寄せる快感の波に耐えながら、相手に快感を与えようとあらゆる 手を使う。
 あたしよりもずっと経験があるだろう先生はすごい。中をぐちゃぐちゃに掻き混ぜられるけど、痛さを感じさせない。
「せんせ……あぁ…」
 高熱に侵されたようにあたしは小さく呟く。
 互いの性器が擦れ合って気持ち良くて、目の奥で火花が飛び散る。
 もっと繋がっていたいけど、もう限界。
「もう…ダメだよぉ」
「我慢しなくていいんだよ…」
 先生の声も余裕がないように聞こえる。
「こっち見ろよ」
 朦朧とした意識の中で、見上げるとそこには一人の男になった先生の顔があった。罠にかかったあたしは逃げられない。
、愛してる」
 強い力で唇が重ねられる。その瞬間、体の奥で不規則な痙攣が始まった。
 それは全身に広がり、腰を大きく跳ねさせながらあたしは力尽きた。

 先生と一つになった後は、今まで生きてきた中で一番満たされていた。
 いつまでも消えない余韻が心地良い。
「風邪ひくから、服着なさい」
「えー、今日はこのままでいいでしょ?」
 いつまでも先生と裸のままでくっついていたかった。
「ドラマとかでよくあるじゃない。カップルがシーツにくるまって朝を迎えるの…先生とこうするのが夢だったんだから」
「へぇ…は夢見る乙女なんだな」
 あたしが必死で説明するのを見て、先生は笑っていた。
「女だったら一度は夢見るんだからね、きっと」
「そういうものなのか?仕方ないな…これも卒業祝いにしてあげよう」
 諦めたように、先生はあたしを抱擁する。
 あたしも先生の首に手を回した。
「でも…また我慢出来なくなっても知らないぞ?」
 低い声で囁かれて、あたしの心臓は跳ね上がる。
「う…ん」
 困ったあたしに「まだまだ純情なヤツ」と先生がからかう。
 3月1日。今日は高校を卒業して、最愛の先生から最高のプレゼントを貰った日。
 いつまでも忘れないだろう。
 
―――――終わり―――――

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