咲き乱れて (1) 私達は4月から社会人になる。桜の花が舞う頃、二人は別々の場所で新しい生活を始める。今までのように毎日顔を合わせる こともない。仕事の内容も違う。それでも心はいつでも繋がっていると信じている。 3月某日、卒業論文の発表会を終えると、と二人で温泉旅行に出かけた。メインの卒業旅行は、友人5人でバリ島へ行くことになっているが、私はとのこの小旅行の方が秘かに楽しみであった。 約2日間、と二人きりで過ごすことが出来る。まるで恋人と愛の逃避行を遂げる気分のようで、初彼ができた少女のようにワクワクしていた。 大学時代の一番の親友であり、よき理解者であるとは、この旅行を最後にしばらく会えなくなるなんて考えたくなかった。もしかしたら、私は彼氏よりものことが大好きだったのかもしれない。 と二人きりで旅行に出かけると思うと嬉しくて、遠足を心待ちにしていた子供のように寝付けなかった。 電車に乗っている時もご飯を食べる時もが隣にいることが嬉しくて仕方なかった。を見ているだけで幸せだったし、自分が彼女の視界に入ることも嬉しかった。 彼氏との旅行もいいけれど、女友達とは会話が弾んで良い。普通の友達同士がするような会話を楽しみながら、その日の夕方、ネットで予約した温泉旅館に到着した。浴衣を着た他の宿泊客とすれ違うたびに、温泉を旅行気分が高まる。 この特別な場所でと最高の時間を過ごすんだ。 「先にひとっ風呂浴びてくる?」 部屋に入って荷物を置くと、が言った。 「いいね!行こう。それにしてもひとっ風呂って…は男前過ぎるわぁ」 「うっさい。あたしはしばらく彼氏いらないからいいの」 そう言って、畳の上に寝転がったのスカートの中が見えそうでドキドキする。 「そんなこと言って、ずっと出来なかったらどうするの?」 「仕方ないからに愛人になってもらう」 「ははっ…それいいね。あんたはうちの彼氏よりも男らしいと思う時あるしね」 なんて冗談を言い合っていたが、本当にが愛人になったら刺激的だろうなと考えてしまった。私は別にレズではない…と思う。しかし、時々女性の裸を見て自慰してしまうことがある。他の女性の身体がどうなっているのか興味を持つのは珍しいことではない(らしい)。女性が感じているのを見れば、想像して自分も同じように感じてしまうのだ。 トイレを済ませると、着替えを持って二人で大浴場へと向かった。女湯に入ると、脱衣所で何人かの女性が着替えをしていた。 の横を一つ空けて私はロッカーを選んだ。親友とは言え、着替えを見られるのは恥ずかしいからだ。脱いだ後の汚れたパンツとか見られたくない。 私はを横目で気にしながら、ささっと服を脱いでいった。二人で一緒にお風呂に入るのは初めてだから、パンツまで脱いでしまうと心細くなる。小さなタオルで前を隠しながら浴場へ入った。 洗い場は結構混雑していたので、と隣通し並んで座った。はタオルをとるとすぐに洗い始めた。私も髪の毛から順番に洗っていく。気付かれないようにの方を見ると、胸のボリュームが想像以上で感心してしまった。 公共のお風呂場で洗う時に一番困るのが下半身を洗うことだ。家の風呂ならば、指を入れて丁寧に襞の隙間を綺麗にすることができるが、ここでは誰かに見られてしまったら恥ずかしいという気持ちがある。 しかし、温泉に入る前には綺麗にするのがマナーでもある。が気付いていないことを願って、石鹸をつけて小陰唇の間を指で洗った。お尻の方もさっと指で軽く洗った。あとはシャワーで泡を流せば良い。汚れている粘膜を洗ってしまうと、何となくすっきりした。 二人でお湯の中に入ってしまうと、下半身はほとんど見えなくなるので恥ずかしさは薄れてきた。広いお風呂に入るのは久しぶりのことで、身体を思い切り伸ばすと気持ちが良くてリラックスできた。 「はぁ…いい湯だねぇ。温泉っていいねえ…最高」 「あんたババ臭くなってるよ…そんなにいいなら、彼氏とまた来れば?」 が呆れたように言った。 「彼氏と来たって一緒に入る訳じゃないし…温泉は女同士の方が楽しいでしょ」 「ふーん、そんなもんかねー」 と二人だけだから嬉しいんだけど…と私は心の中で呟いた。 普段は冗談を言い合ったり、互いの趣味を笑いながらけなしたり、時にはすれ違ってしまうこともあるけれど、彼女は私の悪い所も全て理解して許してくれている気がする。今の彼氏と付き合うことが出来たのも彼女が背中を押してくれたおかげだ。がいてくれたから大学生活は最高に楽しかった。 「でもさ、彼氏と二人でお風呂入ったりするんでしょー?」 「うーん……たまにはあるけど…」 彼氏との裸の付き合いを、友人から尋ねられると恥ずかしくなる。 「いいなーラブラブで。あたしもお風呂でしたい」 ぶっ…。の言葉に私はぎょっとした。周りを見渡したが、温泉に 入っているおばさん達には聞こえていないようだった。 「したいって何を…?」 私は好奇心がムクムク沸いてきて、小声で尋ねた。 「もう!そんなの聞かなくても分かるでしょう?アレに決まってるじゃない」 「あれ…?」 「今日は彼氏との事、いっぱい話してもらうからね。寝させないから覚悟しときなよ」 「こわ……あんた、酒癖悪いからね…」 彼氏とのエッチなことまで話さないといけないんだろうか…。押しに弱い私のことだ。の強引な質問攻めにあったら黙っていられる自信はない。 彼のセックスは悪くはないんだけど、癖になる程良い訳でもない。ただキスして抱き合って裸になって入れられて…。 私が話したらのそういうことも聞くことが出来るだろうか。だめだ、今想像しちゃったらすぐに顔に出ちゃう。 私はの艶めかしい胸元を見ながら、のぼせそうになっていた。 食事は海の幸や山の幸、地元の有名な牛肉など、学生には滅多に食べられない料理を味わって私達ははしゃいでいた。は日本酒を飲み、私は梅酒を飲んで、二人ともほろ酔い気分で思い出話をしていた。 実は私は結構酔っていたのだが、はまだ余裕がありそうだった。何度も熱燗を頼んでは、私にも飲ませながら「美味しー!」とごくごく飲んでいる。 このまま布団に入ったらすぐに寝てしまいそうで、私はジュースを飲んで酔いを醒ましながら、と話をしていた。 食事が終わった後もは売店でビールとおつまみを買ってきて、まだ宴会を続けたがっている。 「あんた飲みすぎじゃない?温泉入れなくなっちゃうよ」 「大丈夫だってえ。こんなのあたしにとっては水と一緒。…寝る前に絶対に温泉行くからね」 …完全に酔っ払っているようだが、私に心を開いてくれているからだと 少し嬉しくなる。今夜は気が済むまで語り合えたらいいな。 頬を桜色に染めたを見て、やっぱり美人だなと見惚れていた。白い首筋と薄茶色の長い髪が浴衣に映える。誰が見ても容姿端麗だと認めることだろう。そんな彼女と友人になれたことを、私は誇らしく思っていた。 しかし、はこの後思いがけないことを言い出した。 「ねえ、エッチなビデオ見ようか?」 「はあ?」 私は驚いて大声を出してしまった。には私が呆れたと思われたかもしれない。 「そんなにびっくりしなくても…」 は少し悲しそうな顔をした。 「だって…いきなりね…」 「は見たことあるんでしょ?」 「そりゃ…ないことはないけど…」 彼氏と一緒に見た事を思い出して、恥ずかしくなった。 「じゃあいいじゃん。見ようっ!ホテルとかにあるアダルトチャンネル、前から見てみたかったんだよねえ」 はふふふと笑いながら、有料放送のメニューをチェックしていた。 見た目は清楚な女子大生が、AVを楽しみながら探すエロオヤジになっている…。 彼とは冗談半分で一度見たことがあるけれど、女同士でAVを見たことなんてない。アレをやっている所がモロに映っている訳で、友人と見るのに耐えられるかどうか。とは言え、私も興味がないわけではなかった。健康的な22歳の女なのだ。エッチなことにも人並みに(多分)興味がある。 は自販機でテレビカードを買ってくると、テレビの下の機器に差し込んだ。 「何か見たいのある?」 はアダルトのメニュー表を私に見せて言った。 「あたしは別にどれでもいいよ」 と言うと、彼女はつまらなさそうな顔をした。 「じゃあ、あたしが選ぶよぉ。ハードなのがいいかなぁ」 「もう好きにして…」 はしゃいでいるを尻目に、私は半ば呆れ気味でビールを飲み干した。大好きな親友との旅行でまさかこんな事をするとは想像もしなかった。 「これでいいかなぁ」 見たいのを決めたらしく、はテレビの前に寝転がってじっと画面を見つめている。私も気になってしまい、彼女の後ろから胸を高鳴らせながら覗いていた。 見た目は20代前半ぐらいの女性がカメラに向かって自己紹介をしているが嘘臭い。男はこんなわざとらしい作られた話がいいのかなーと可笑しくなる。 は、「へえ、結構胸きれいじゃん」とか「めちゃくちゃエロいのだったらいいな」とかつぶやきながら楽しそうに見ていた。私は彼女を見ている方が幸せだった。 少し時間が経つと、男女が絡んでいるシーンに移った。ナース服を着た女性が白衣を着た男優に胸を弄られていた。 「お、きたきた」 濡れ場が目当てのは嬉しそうだ。 ちゅぱちゅぱとわざと大きな音を立てて口で愛撫している。 「あんっ!あぁーん…あっ、あぁっ…」 女優の喘ぎ声がだんだん大きくなってきて、私はそわそわし始める。 「ねえ、ちょっと音量下げた方がいいんじゃない?」 「そう?」 特に気にしていない様子のを見て、私はリモコンを探して急いでボリュームを下げた。隣の部屋にまで聞こえていたらと思うと、恥ずかしくて堪らない。 女優の下腹部が映し出されたが、肝心な所にモザイクがかかっている。男優が指を使って、ぐちゅぐちゅ音を立てながら掻き混ぜているようだった。女優の声はわざとらしく大きくなる。 演技だと分かっているのに、AVにあまり免疫がない私は下半身がムズムズしてきた。いけない…に気付かれないようにしないと。不用意に身体を動かさないように気をつけた。 他人のセックスシーンは決して綺麗とは言えないが、男性の興奮を煽るように作られているのだろう。女優が男性のモノを頬張って美味しそうにしゃぶったり、高い声を出して嬉しそうだ。 さっきまで面白がって観ていたが急に静かになってきた。真剣に観ているのだろうか。それとも飽きてしまったのだろうか。 「ねえ、…」 「何?」 「って濡れやすい?」 「はぁ?」 一瞬、時が止まった。ぼーっとしていると思ったら、いきなり何を聞き出すのか、この娘は…。濡れるってやっぱりアノ事なんだよね。 「長い付き合いじゃん。教えてよー」 「あんた…相当酔ってるね…もう寝た方がいいんじゃない」 「別にいいじゃん、これ位。恥ずかしがらなくても。ねえ、どうなの?」 は赤くなった顔で詰め寄ってきた。浴衣がちょっと肌蹴て胸が見えそうになっている。私は女子の制服をこっそり覗く男子のようにごくりと喉を鳴らした。 「どうって…別に普通だと思うけど…」 「ええー?普通じゃ分かんないよ」 「わかんなくていいの!、セクハラオヤジになってるよ」 私が呆れた声を出すと、はつまらなさそうに口を尖らせた。 「ケチー!あたしも後学のために知っておきたかったのに」 何の後学だ、と可笑しくなった。 「じゃあ、はこんなエッチビデオ見て濡れてんの?」 私はお返しに、答えにくいことを質問してやった。彼女ならどううろたえるだろうかと楽しみだ。 「うん。濡れてるよ」 再び時が止まった。まさかこうはっきり答えるとは。いや、彼女ならあり得ると想像しなかった私が浅はかだった。また私の方が羞恥を抱えることになってしまった。 「ってサバサバしてるけど…あっちの方は大胆なんだね…」 恥ずかしいけれど、彼女の意外な一面を見つけて嬉しくなる。 「ふふ…。これで彼氏がいないのがおかしいでしょう?」 「ほんとそうだよねぇ。ほどの人に彼氏がいないなんてね」 私が大げさに言うと、本当はそう思ってないくせに、と言われて二人で笑った。に彼氏がいないから、こうやってゆっくり遊ぶことも出来る。彼女には悪いけど、私にとっては有難い。この夢のような時間がいつまでも続けばいいのに。 next→ 彼といつもより刺激的な♡エッチ 女性のための官能小説・目次 |