星空の下で 名前変換 
 ゴールデンウィークの初日、とある高原のスカイラインはいつもよりも車が多く通行していた。
 家族連れやカップル、同性の友達同士での旅行など、みんな長期の休みを心待ちにしていたかのように軽快に走り去る。
 大学生カップルのも楽しそうに話をしながら、ドライブを楽しんでいた。
「ねえ、この道であってるよね?」
「ああ。いつもがナビしてくれるから助かるよ」
 は左手での頭を撫でた。
「ほんと?でも、今日は珍しく迷わなかったね…」
「まあ、こんな一本道、迷う方が難しいけどな」
「何よー」
の方向音痴は素晴らしいからな」
 ふくれっ面になったはからかう。
 二人はこの先にあるキャンプ場に向かっている所だった。
 大学2年の冬休みに付き合い始めた二人の交際は順調であった。
 趣味や価値観が似ていることもあって、周りから羨ましがられる程いつも仲が良かった。たまには喧嘩をすることもあるけれど、二人とも離れてしまうと互いを恋しく感じ、すぐにどちらともなく仲直りするのだった。
 まだ21歳のだけれど、この先ずっとと一緒に人生を共にしていきたいと秘かに思っていた。を最高の パートナーだと思い、付き合えたことを誇りに思っている。

 途中のレストランで昼食をとり、2時過ぎにキャンプ場に到着すると、既に大勢の人で賑わっていた。
 受付けのログハウスに行き、テントを貼るスペースを教えてもらうと、車で向かった。道沿いにある芝生の上では、家族で協力してテントを組み立てたりしている。
「へえ。車がテントの横に駐車できるのって便利だねー」
「これで、催した時にいつでも車の中で出来るだろ?」
「…は?何を?」
 怪訝そうに尋ねるに対して、は口元をにやにやさせている。
「何ってエッチなこ…」
「昼間っから何考えてんのよ!」
 は顔を赤らめてそっぽ向いた。
 ごめんごめん、冗談だよーとが笑う。
(キャンプに行くっていうから全く期待してなかったけど、ってばもしかして、今夜エッチなことしようとしてる?)
 が言った車での「こと」を想像すると、は一瞬で下肢の間が熱くなるのを感じた。そして、純粋にキャンプを楽しみに来た家族連れが大勢いるのに、こんな事を想像してしまった自分を恥じて、別のことを考えようと努力した。

 は大学のワンダーフォーゲルのサークルに所属しているため、慣れた手付きでテントを組み立てていく。
 は感心しながら手伝っていた。やはり、アウトドアで頼りになる男性はいいものだ。自分には、学校の勉強だけ出来る男では駄目だと、いつもよりも頼もしいを見ながら思った。
 テントが完成するとは中に入った。思ったよりも広くて、今夜ここで寝るのを想像するとワクワクしてくる。
「いいね!なんか秘密基地みたいで」
「秘密基地って、おまえは小学生かよ」
「だって、キャンプなんて小学校の合宿の時以来なんだもん」
 の父親はアウトドアにはあまり興味がないらしく、ホテルに泊まることはあっても家族でキャンプに行くなんて経験はしたことがなかった。
 と付き合ってから世界がどんどん広がっていく。
「まあ、今夜は二人だけの愛の巣になるけどな」
「愛の巣って、何か不倫みたい…」
「へえ、もしかして不倫に興味あるのか?」
 をからかった。
「な、ないよ!誰かが不幸になる恋愛なんてしたくないし」
「俺も。…と結婚できたらそれでいいし」
「え…?」
 が聞き返したが、は照れてそれ以上は言わなかった。
 今まで付き合ってきて、の口から結婚という言葉が出たのは初めてだった。
、嬉しいよ…)
 はっきり約束した訳ではないが、自分と同じ気持ちでいてくれるかもしれないと思うと嬉しかった。
(夜になる前にいい雰囲気になっちゃうかも…)
 はそろそろ起き上がろうとすると、突然唇を塞がれた。
「んっ……」
 不意打ちをくらって、の胸は高鳴る。すぐ傍では他の宿泊客の話し声が聞こえるから、余計に緊張してしまう。
「充電完了。さあ、夕飯まで散歩でも行くか」
 いつものに戻ったようだ。

 夕飯はキャンプで楽しめる定番のバーベキューだった。
 マメなが、クーラーボックスに野菜と肉を用意して来ていたのだ。
 野外で好きな人と食べるバーベキューは格別だった。
 いつものように仲良くはしゃぎながら夕食の時間を楽しんだ。
 夕食が終わると、二人はシャワー室に行き、空いている個室でシャワーを浴びた。
 暗くなってしまうと、灯りがある道を散歩するか、テントの中で話すことぐらいしかすることがない。
 それでもは、と過ごせることが嬉しかった。二人で毛布を被って、飽きることなく世間話を楽しんでいた。
 夜が更けていくにつれ、辺りが段々静かになっていく。
 テント内の灯りも消えて、人々は就寝しているようだった。
「ちょっと早いけど俺達も寝るか」
「…そうだね」
 寝てしまうのが勿体無い気がするが、多少疲れているので眠い気もする。は素直にに従うことにした。しかし、 一つ気がかりなことがあった…。
「ねえ」
「どうした?」
「トイレ行きたい…」
 と話をしながら、ずっと我慢していたのだ。
「暗いからついて行こうか?」
「うん…ありがと。でも、あのトイレあんまり使いたくないんだよね…。綺麗じゃないし、変な虫もいるし」
 トイレが心地良く使えるかどうかは、特に女性にとっては重要だ。山の中のトイレというのは、どうしても衛生面や防犯面など気がかりな点がある。
「ごめんな。もっと綺麗なキャンプ場を調べたら良かったな」
「ううん。いいの」
 はこういう細かい所まで気に掛けてくれるから、それだけで満足だった。
「なあ、トイレ使うのが嫌なら外でしたら?」
「は?」
 は弾んだ声で告げ、他人事だと思って面白がっているようだった。
「どっかで隠れてすればいいよ。外は暗いし、みんな寝てるから大丈夫だって」
「そんな…小学生じゃあるまいし」
 も小さい頃は何度かしたことがあるが、この年になって外でするなんてないでしょ…と思った。
「でもいっぱい虫がいるかもしれないよ」
「やめてよ」
 をトイレに行きたくなくなるように、追い討ちをかける。こうしている間にもの尿意は増していく。座ったまま、かかとを股間にぎゅっと押し付けて我慢する。
「じゃあ、俺も一緒にするからいいでしょ?」
 新たな提案をすると、の手を引っ張って外へ連れ出した。
「ちょっと!どこ行くの?」
 そのままトイレとは逆方向へ小走りで向かっていく。やがて、テントが貼られていない所へ出た。
「そこの垣根の影でしようよ」
「本気!?」
「本気だよ。早く済ませて戻ろうぜ」
 どうやらは本当にここで用を足す気のようだ。大したことないとでも言うように、涼しげな顔をしている。
 確かにここは歩道からは少し離れているし、周りには誰もいなさそうなので、見られる心配はなさそうだ。あの汚いトイレを 使用することを考えれば、ここでさっさとしてしまう方が良いかもしれない。
 はどうしようか迷っている。時間だけがただ過ぎ、はますます切羽詰ってくる。
「俺、ここでするから。は奥の方でしたら?」
 はさらに歩道から離れた場所を指差した。
「絶対見ないでよ!」
 は小声で、しかしきつくに注意した。
「分かってるって。終わるまでこっち向いてるから」
 言ってみるもんだな…とは心の中でガッツポーズをした。
 が済ませている間に自分もしてしまおうとは覚悟を決めた。
 はズボンのジッパーを下げると、トランクスから取り出し、先に用を足し始めた。柔らかい草の上に尿が飛び散る音が聞こえてくる。
 の緊張は一気に高まる。悪いと思ったが、の方をちらりと見ると、地面に向かって彼のものが出ているのが見えた。ドキドキして頭に血が上る。
 彼がしているのを見ると、の我慢も限界に近づいていた。もじもじ動いて必死に我慢する。他のトイレを探している時間は残されていない。
 は覚悟を決めると、急いでズボンとショーツを下ろしてしゃがみ込んだ。
 早く出そうと思うが、焦れば焦るほど力んでしまって余計に出なくなる。
(何でよ…早くしたいのに……早く出て…!)
 が終わりに近づいたのを悟ると、は泣きそうになりながら、尿道が開くように頑張った。
(あ、もうちょっと……出る!)
 力を抜くとシューという音を立てながら、チョロチョロ出始めた。やがて貯まっているものを全て出すように勢い良くシャーと出てしまう。音の大きさに焦ったが、ここまで出てしまえば止めるのは相当な苦痛が伴う。
(お願い、見ないで…)
 いくら長い間付き合っていても、用を足す所を見られるなんて考えられない。汚いとか思われて、嫌われてしまわないだろうか。恥ずかしさと不安で押し潰されそうだった。
 がこっちを見ないことを祈ったが彼は自分の身なりを整えると、人が来ないか見張りながらこっそりの用を足す姿を覗いた。外でお尻を丸出しにして恥ずかしい格好をしている彼女。音までばっちり聞こえている。少し可哀想だと思いながらも、妙な興奮が湧き上がってきた。
 ずっと我慢していたものが出て行くのは気持ち良かった。
 が終わったのを確認すると、は明るく声をかけた。
「さあ、早く帰ろうぜ」
 テントに戻ったらを抱くことしか考えられなかった。
 その気持ちが伝わったのか、もまた との淫らな行為を想像して、身体が交わる準備を始めた。 戻る途中で、若い男女とすれ違った。彼らもまたトイレの場所を探していたの だった。

 テントの入り口を閉めると、は寝袋の上にを押し倒すと、深いキスを交わした。
 に口腔を舌で撫で回されていると、次第に体が熱くなり下半身が反応を示した。の舌をいやらしく啜った。湿った水音がテント内に響き、は周囲を気にするも止めることが出来ない。
 激しいキスで脳内が甘く痺れた頃、の服を手早く脱がした。
「え…?ここでするの?」
「嫌?」
「だって、すぐ隣にテントがあるのに…」
 欲望のままに激しく行動すれば声やその他の音が他人に聞こえてしまうかもしれない、とは心配した。
「声出さなければいいよ」
(そんな無茶な…)
 は気にせずにさっさと事を進めようとしている。突然、の胸を口に含んだ。
「ん…!」
 は早速声を漏らしてしまいハッとする。こんな場所でしているからだろうか。余計に興奮が加速する。
 固くなった薄紅色の先端を舌で弄られ、は体液が零れ落ちるのを感じた。必死で声を抑えて下半身を捩らせる。
 の乱れ様がの欲望を煽った。先程、草むらで用を足していた彼女を思い出して息が荒くなる。
 いつもよりも早急に秘所に手を触れた。そこは既にびっしょり濡れていて、淫らに花弁が膨らんでいた。
「何だよ…もうこんなになって…感じてんの?」
「いや……」
 は顔を背けて恥ずかしそうに呟いた。
 それを見ていたは抑えが効かなくなり、大事な所を指で探り始めた。
 くちゅ…と湿った音を立てての泉の中に指を沈めていく。
(んん……来る…気持ちいい…)
 彼女の中は熱い愛液で満たされていた。はそれを指に絡めて掬い取るようにかき回す。耳を覆いたくなるような淫らな 音がテントの中に怪しく響いた。
「やっ…聞こえちゃう…」
「大丈夫だって」
 周りを気にするを宥めながら、はより激しく鳴るように攻め立てた。内壁のざらざらした部分を押して、新たな快感を引き出す。
「ちょっと…だめだって!…ふぅ…ん…」
 は遠慮するどころかの弱い所を重点的に攻めて、明らかに楽しんでいる。ホテルでの行為ならどんなに乱れても構わないが、こんなところで…。
 しかし、一旦火がついたは、いけないと思いつつも、さらなる快感を求めているのも確かだった。規制のあるセックスもスパイスとなり、二人を燃えさせる。
「う……ぁ……」
 の奥から愛の印が沢山零れ落ちた頃、もそろそろ限界だった。彼女の排泄姿を見てからずっと催していたのだ。
「いい…?」
「うん…はやくきて……」
 今更止めることなど出来なかった。溢れ出している所にの男を奥まで入れて、欲望をかき回してもらいたかった。ここが何処であろうと、欲望に火のついた二人には関係ない。
「いくぞ…」
 は怒張した自分自身をにつき立てた。
「んん……」
 は秘所の力を抜いて受け入れる体勢を整える。快感と共に少しずつ奥に熱い棒が入ってくる。自分の中を満たしてくれる瞬間は何とも言えない。あらわな声を出してしまいそうで、彼女は必死に歯を食いしばった。
 昂ぶっているもいつもより余裕がなかった。奥まで収めると、性急に腰を前後に揺さぶる。
(あっ…、激しいよ…)
 の望み通り、腰を大きくグラインドさせ、核心にぐりぐり擦りつけたり、奥までゆっくり突き入れた。
 オンナの泉は悦びを与えられ窮屈に締まり、を熱く包み込む。
(いいっ…やっぱりの中は最高だ……)
 快感に歪んだ彼女の顔を見て、は愛しさで胸が苦しくなった。下半身の方も限界を迎えようとしている。
 出来ることなら自分の想いを欲望と共に全て中に吐き出してしまいたい。しかし、若い二人にはまだ許されない。葛藤を抱えながら、力強く打ち付けた。
 テントがぎしぎしと音を立てる。
「駄目…聞こえちゃう…」
 はわずかに残っていた理性を取り戻した。
「じゃあ止めるか?」
 の体から自身を抜こうとして、は焦って止めた。 「…それもやだ」
 愛しい男性の大きな背中をきつく抱きしめる。
「どうするよ」
 汗ばんだ髪の毛をなでながら、は優しく尋ねた。
 悩んだ末、は答えた。
「やっぱり一緒に…いきたい……」
 恥ずかしそうに小さく告げるを見て、熱い感情が込み上げてくる。彼女を自分の手でずっと守っていかなければと。
「ああ、一緒に行こう…。帰ったらの実家にも行かなきゃね」
「え?何で?…あっ……」
 は答えずにの奥を攻め立てた。疼いていた気持ちが全身に広がる。さっきの答えは?でも、今は高みへと連れて行って欲しい。
…ずっと一緒にいよう」
「ああっ…うんっ……」
 に深く舌を差し込まれたは夢中になってしゃぶる。下半身の繋がっている部分も熱く溶けて水音を発していた。
 の中は最高に気持ち良かった。まるで自分と出会うために生まれてきたかのように相性はぴったりだった。
(欲望のままに奥まで突いて、このまま全て吐き出してしまいたい)
 一瞬、とんでもないことを考えてしまった。
 深い所まで貫かれ、核心を擦られていたは、終わりが目の前に迫っていることを悟った。
「あっ…もうだめぇ……いっちゃう…」
 の淫らな声を聞いて、にも限界が来る。
 の背中に爪を立てながら、のはちきれそうになっているものをリズミカルに締め付けた。精液はもうそこまで昇ってきている。
「うっ……」
(でも、結婚するまでは…)
 何とか寸前での体内から抜け出し、外に欲望を解き放った。

 二人は近くのベンチに座って空を眺めていた。高原の夜は少し肌寒い。
「星が綺麗だねぇ」
「そうだな。都心じゃ夜でも明るいからこんなに見えないもんな」
 無数の星の中から知っている星座を見つけると、は指差して なぞった。
「そういや、さっき…あたしの実家に行くとか言ってたけど」
「あー、事後にこんなこと言うのも何だしな…また改めて」
「ふーん、期待してもいいのかな…」
「ああ、心待ちにしておけ」
 星空の下で二人はキスを交わした。ひときわ明るい流れ星が二人を祝福するかのように空を横切った。

―――――終わり―――――

彼といつもより刺激的な♡エッチ

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