忘れられない記念日  名前変換 投稿: 茉莉花 様 
晴れやかな秋空。
同じ晴れなのに、夏とは違い、空は高く風に湿り気がない。
そう、とってもさわやかな朝である。ほんのり遠くのほうから金木犀の香りがした。
ふと目が覚めた。昨日あんなに泣いたのに、あんなに苦しかったのに、ちゃんと朝は来るんだ。
隣には誰かがいた気配がしている。何があったんだっけ?
あたしはなんとか記憶をよみがえらせてみる。あんまり覚えていないんだけど。。
・・・・・・・・・・・・・・

確か昨日は雨だった。
あたしの心は晴れていた。
大好きな人と3年の記念日。ちょっとだけいいレストランで食事して、ドライブして。それからは・・・。
もう婚約も近いんじゃないかなと思ってた。
周りからもそう言われてたし、ちょっとは期待するでしょ?

ただ、彼はとても忙しい人。すれ違いもごく当たり前だった。
それでもあたしは彼を信じてるし、とても愛している。

夜が楽しみだからこそ、仕事もはかどっちゃう。はやく夜にならないかな。
そんなとき、一通のメール着信。

「ごめん!今夜のデート、急な仕事が入って行けなくなっちゃった!!せっかくの記念日なのに申し訳ない!」

そっか。仕事なら仕方ないよね・・・。
せっかくのテンションが下がっていくけれど、仕方ないと自分に言い聞かせるしかない。
そんな気持ちで返信した。

「わかった!仕方ないよね。お仕事がんばって!あたしのことはまた埋め合わせしてくれればいいからね☆」

これもいつものこと。
友達と飲みにでもいくか〜。

こういう時はいつもあたしの親友、麻由と二人での「憂さ晴らし飲み」が定番。
親友は既婚者だけれど、いつも彼女の家で飲み会を開いてくれる。
いつものように飲んで喋って、気の置けない時間を楽しんだ。
気が付くともう11時。帰らなきゃ。麻由の家から駅まで歩いていく。

そうだ!今日はせっかくの記念日。ちょっと彼の家まで寄っちゃおうかな。
と、突然彼の家に訪問しちゃう計画を立てた。
合い鍵も持ってるし、何も悪いことじゃないよね?
まだ帰ってなければごはん作ってあげればいいことだし。

彼の家はマンション。
そっと鍵を開けてみた。あれ?帰っているのかな?人の気配。
彼一人じゃないような・・?
部屋の中から荒い息が聞こえてる。女の声がする。
女は彼の背中へ腕を回し、彼の唇を受け入れている。
女は白い体を露にし、小さな声を出しながらゆっくり動いている。
あたしは愕然とした。あの女は一体誰・・・?
まさか・・・信じられない。あたしの胸を突き刺すような、そんな重い痛みを感じた。
「何してんのよ!!!」
そんな言葉が出てきたらいいんだけど、声が出てこない。
マンションを飛び出し、無我夢中で走っていたら、気付けばあたしは雨の中、交差点に立っていた。
涙なのか雨なのか、そんなことすらわからなくなっている。

あんなに信じてたのに、あんなに愛していたのに、彼はそうじゃなかったの?
仕事っていうのは嘘だったの?
いろんな疑問が頭の中でぐるぐる回ってるのだけど、戻る気にはなれない。
このまま死んでしまいたい、そんなことがよぎっていた。

・・・・?」
雨の音でよく聴こえなかったけど、あたしを呼ぶ声が聞こえたような気がする。
これはあたしを天へと連れてく声なのか。きっとそうなんだろう。
ふらっと車道に出ていこうとしたらぐいっと腕が歩道側へ引っ張られた。

「やっぱりだ!危ないだろ?そんなとこで!」
見覚えのある顔だった。たぶん小学校の同級生の男の子。何年ぶりだろう?
でもよく顔が見えない。雨のせいで顔がはっきり見えないんだと思った。
違う、顔がはっきりと見えないのは雨のせいじゃない。あたしの涙だ。
あたしはこの人の胸の中で大泣きしていた。彼はだまってあたしを支えてくれた。
ほっそりした体型だけれど、骨はしっかりしていて頼もしい体だった・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・

どれくらい泣いていただろう。雨は気付けば止んでいる。
「・・大丈夫か?」
彼はあたしが少し落ち着いたのがわかったのだろう。
あたしは彼と離れたくなかった。なんで?
そう、実はあたしは昔彼のことが好きだった。打ち明けることもなく卒業しちゃったから片想いで終わっていた。
「うん・・。お願い、今日はこのまま一緒にいて」
自分でも思わずびっくりした。こんなこと言っちゃうなんて。
「じゃ、うちでよければ来いよ。ずぶ濡れじゃないか。風邪ひくぞ?」
あたしはこくりと頷くと、彼はそっと手をつないで導いてくれた。

風邪をひいてはいけない、彼はあたしにお風呂に入るよう言った。
あたしは好意に甘えてお風呂を使わせてもらった。
彼の服を借りる。なんだかいいにおい。安心するにおい。
あたしが彼を好きだったのはそういうにおいにも関係してるんだろうな。
お風呂からあがると、あったかいミルクの香りがした。
「おいしい・・・。」
リラックスしたあたしの顔を見て、彼は口を開いた。
「何があったんだ、今日?ただごとじゃないことなんじゃないか?俺でよければ話聞くよ?」
その安心できるような低い声、全身の力が抜けるとともに再び涙が溢れ出した。
自分でも何を言っているのかわからないけれど、彼に全てを話した。

「・・・そうか。それは辛かったな。」
彼は多くを語らず、じっくりあたしの話を聞いてくれた。
「今日はゆっくり寝るといい。俺のベッド使っていいから。泣いた日はよく眠れるはずだよ」
彼の優しさにあたしはもうどうしようもなくなった。
「一緒に寝て」
彼は目を丸くする。あたしの言葉にかなり驚いたみたい。
「でも、お前・・」
あたしは突然彼の唇をふさいだ。その先の言葉を聞きたくなかった。甘いミルクの味がする。
彼はあたしの体をきつく抱きしめた。
「いいんだな?こうなったら止められないぞ?」
あたしは彼の問いかけに応えるように彼を抱きしめた。

優しく唇を触れ合う。時々激しく舌を絡ませて。
彼の唇があたしの首筋、耳、鎖骨へと移動していく。
あたしは小さく息を漏らした。
あたしが着ていたパジャマのボタンに手をかけた。ひとつひとつボタンが外される。
彼の舌は鎖骨から胸の間にまで移動していく。
彼の前であたしの胸はあらわになった。彼の舌先はあたしの敏感な部分を焦らすかのように移動している。
あたしの中がだんだんと熱くなってきてる。自分でもわかる。

「あぁっ・・・!」
気を緩めてたその瞬間、彼の舌があたしの敏感な突起をイタズラに舐め始めた。
びくん、と彼に委ねてたあたしの体に電流が走る。
そのイタズラな舌はあたしの敏感な部分を転がすように舐める。
「んっ・・・あ・・・はぁ・・・っ」
思わず声が出る。恥ずかしさでいっぱいになった。
それでも舌は動きをやめない。びくん、びくんと体が無意識に反応する。
自分の中から熱い、甘い蜜が溢れてきてる。。
それを見計らったかのように、彼の手があたしの下半身をそっと撫で上げる。
「んあっ・・」
彼の指が秘密の筋を上下に焦らすように撫でる。割れ目から中へ指を入れ、中で動かし始めてる。
あたしはそのたびに声が我慢できなくなってきていた。
「こんなに感じてるんだね・・。」
指を抜くと、粘り気のある液体を見てうれしそうに呟き、指から舌に替えてあたしの蜜をぺろりとすくうように舐め始めた。
「ああっ!」
あたしの体に再び熱い電流が流れる。
舌はあたしの中をかき混ぜたり、出したり入れたりを繰り返し、あたしは理性が吹っ飛ぶくらい体をくねらせていた。
そのたびに声は大きくなっていく。

じゅる、ぴちゃ・・ぴちゃと部屋には恥ずかしい音が響いてる。
恥ずかしいのになぜか体は悦んでいるような、そんな気がしていた。
舌は動きが激しくなっていく。
「いやっ・・・あぁ・・も、もうダメ・・・・っ・・お願い・・・」
あたしは今まで自分でおねだりなんてしたことがなかった。
そんな自分にまた驚く。
彼は舌の動きを止めると、ふっと優しく笑い、彼の熱く固いものをそっとあてがってゆっくり押し込んでいく。
彼のものはあたしのいやらしい姿だけで熱く脈を打つ程度にまで成長していた。
ゆっくりと出したり、抜いたりを繰り返していく。
あたしが絶頂になりそうな時は動きを止めながら。
彼の優しく、たくましい腰つきにあたしはみとれていた。
ゆっくりした動きが徐々に早くなっていく。彼が奥をつくたびにあたしの声が漏れる。
「お前の中、すごく熱いよ。俺、こんな気持ちいいの初めてだよ。」
「やだ・・・もうっ、バカ・・ああっ」
あたしが口を開くと咄嗟にあたしの胸を口でふさいだ。
彼の動きがかなり激しくなっていく。
「俺、止まらないよ。。」
あっ、あっ、あっ、とあたしの声が一定のリズムになってく。
「あ、俺もう・・・・」
「あたしも・・・一緒にイって・・・お願い・・」

「あああああっ」
「うっ・・・」
あたしたちの声がハモった。あたしたちは同時に絶頂に達した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

目が覚めるとさわやかな風があたしの体を抜けていく。
あたしの隣にはあの彼がいたんだ。テレビの音が聞こえる。
あたしが起きたことに気付いた彼は、あたしにそっと口付けた。
「おはよう」
あたしの心の傷は彼によって癒されていたことに気付いた。
あたしたちはきつく抱きしめ合い、再びあの快楽の光の中へと導かれていった・・・。

―――――終わり―――――

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