たすけて神様(1)  投稿: はるか 様 
 澄みわたる夜空を見上げると、漆黒の世界に星々が光り輝いている。果てしなく広がる宇宙から見ると、私一人なんかどうでもいい存在に思えてくる。
 大昔に神様は人間を創りだしてくれた。命の重さと尊さは、誰と比べても同じと言うけれど不公平な事ばかり。私はコンプレックスの塊。神様が間違えた不良品のDNAで作られてしまった。
 私の身長は183センチ、体重68キロの体は、社会から必要とされない大きさ。バレーボール選手なら日本選抜レベル。でも、私の体に反射神経と運動神経は、組み込まれていない。
 女性トップクラスの27センチの足は、お父さんの靴でさえ、足の先しか入らない。
 こんな私にも彼はいる。でも、終わりを迎えようとしている。
 彼に抱かれる時は必ず部屋を暗くする。大きな体は見られたくなし、彼より大きな足なんか、慰めの言葉も見つからない。きっと、たいせつな所も小さくて可愛らしいはずもない。
 私より10センチ以上も背の低い彼に、丸まって甘える姿は凸凹カップル。そして、甘えない私は可愛くないに決まってる。
 だけど、彼には捨てられたくない。だから毎月、神社でお願いを続けて来た。
 今日は8月のお願いをするのに、朝早くから神社へ行った。長い階段を登り大きな鳥居をくぐると、見慣れた古い木造の神社が建っている。この神社は古くから縁結びの神社と知られ、遠方からも多くの女性が参拝にやってくる。
 私は乱れた呼吸を整えながら、握り締めていた5円玉を賽銭箱に放り入れた。
 カランカランカラン・・・
 賽銭箱の中で転がる5円玉。
 私は金色のガラガラを見上げながら、太い紐を両手で握り締めた。大きく振るけど、なかなか上手に鳴ってくれない。この大きな鈴が3回響いてくれないと、お願い出来ない私の決め事。
 もう一度、太い紐をしならせるように振った。
 ガランガランカラ〜ン
 森の中に吸い込まれる鈴の音は、屋内のようには響いてくれない。でも、これでやっとお願いが出来る。
 パンパン
 目を軽く瞑って心からのお願い。捻くれた性格を直しますので、健太が私を捨てないようにして下さい。神様お願い。
 呼吸を止めて一途に願いを込めると、頭の中がクルクルと回りだす。立ち眩みのような眩暈に襲われ、意識が薄れていった。

 どれくらい時間が過ぎたのか解らない。気が付くと薄暗い部屋の中で横たわっている。格子戸を通して大きな鳥居が見える。
 私はヒンヤリとした神社の中にいるみたい。まだ眩暈も治まらず、冷たい床板に頬を付け目を閉じると、遠くから野太くかすれた男の声が聞こえてくる。

 お前はダメだ。このまま人生を歩むと自ら破滅する道を選択するだろう。

「誰の声、怖い」

 300年に一度だけ訪れる好機に感謝するがいい。ただ好機を掴むも逃すもお前にかかっておる。
 この薬粒を飲めば、この世におる全ての人間の中に入る事が出来る。しかし、お前の思う通りに体を動かしたり話す事は難しいだろう。そやつの事を強く思えば中に入れるし、出たいと思えば出られる。
 この忠告に恐れをなして、飲まなけば必ず破滅する。飲んでも好機を掴まなければ破滅する。どちらにせよ、残された道は一つだけだ・・・

 気がつくと、私は神社の前に立ってお参りしている。手には何かを握り締めていた。それは茶色に変色した和紙の包み。
 ・・・何これ。
 一気に湧きあがる恐怖に体が悲鳴をあげ、足元から全身へ鳥肌が立った。
「キャー・・・・」
 震える両足を引きずりながら階段へ向かう。錯覚か現実か、背筋に冷たい視線を感じる。だけど、怖くて振り向く事なんか出来ない。階段の手摺を頼りに降りると人恋しく町を歩いた。背筋に残る寒気が陽射しに照らされても暖まらない。
 この恐怖から逃れる為、人ゴミの中で心が回復するまで待つしかない。早く座りたい、ゴチャゴチャになった頭の中をなんとかしたい。
 私は取り乱したまま、ファーストフード店に入った。ガラ空きの店内には、ウェートレスしか見当たらず、私は大きな窓のある席に座った。
 私は和紙の包みを握っている。クシャクシャになった包みをそっと開くと、小さな乳白色の粒が5つ入っていた。恐る恐る匂いを嗅ぐと、苦い胃腸薬の香りがした。
 私の人生は破滅する・・・
 これを飲まなければ必ず破滅する。この薬粒を見れば見るほど、現実味を帯びてくる。
 でも、仕事で人生が破滅するのか、交通事故系なのか解らない。上司の女性部長の中に入ってもピンと来ない。
「・・・」
 ふと思い浮かんだのが男系、コンプレックスによる人生の失敗。
 自宅に帰り両親の顔を見てやっと落ち着いた。夕食を済ませると、もう午後9時。人生の破滅が怖い、でも誰に入れば良いのか解らない。
 私にコンプレックスがなかったら、どんな人生を歩めたのか・・
 大学のミスコンで1年から4連覇を果した伝説の美女、中野絵理。大学時代からグラビアアイドルをやっていた彼女は、同じ男性モデルをしていた先輩と交際した。その彼とは、今も交際がを続いていると聞いた。
 ただ、絵理の性格の悪さは天下一品。彼女を良く思う女性は一人もいない。その彼女が今もなぜ交際が続くのか。それが知りたい。
 私には与えられなかった体は、性格さえカバーできるのか、それとも甘え上手なのかもしれない・・・
 私は一つの薬粒をつまむと、覚悟を決めて口に放り入れた。ギュッと強く目を閉じ水で流し込む。体に変化は起きないが、神経の全てが耳に集中すると、大勢のざわめきが聞こえる。
「ねえ絵理、もうそろろ結婚するんでしょ」
「え〜やだ〜、まだ結婚なんてしないよね。和也」
 絵理の声が聞こえる。目の前には、あの上西和也が、私をみつめ、腕を柔らかく組んでいる。20数センチ下がった目線は和也を見上げている。視線を周りに向けると、女性と同じ高さの目線。間違いなく私は絵理の中にいる。
「私、絵理が羨ましいな。こんな素敵な彼と付き合えて」
「なに言ってるの、美穂にも彼がいるでしょ。そんなこと彼の前で言ったら怒られるわよ」
 美穂の目が和也に釘付けになっている。
「俺も絵理さんみたいな彼女がいいな」
 彼も負けじと言い返し、私を・・・いや絵理をチラ見する。
「さあ、そろそろ帰ろうか」
 優しく包み込む甘いマスクと掠れた声。
「うん・・・」
 私は車の助手席に座ると、和也は私を見る事もなく、車を走らせた。車内は音楽さえ流れず、会話のない気まずい沈黙に包まれる。
 静かなエンジン音の中で、よどんだ空気が顔に押し寄せると、絵理は膝の上で両手を握った。
 山沿いの観光道路を登りつづけると、ふもとの街はカラフルな光が密集した夜景をつくり出し、吸い込まれそうになる。
車が止まった先は、洗練されたシティーホテルにも見える、ラブホテル。
 私が抱かれる訳ではないけど、抱かれるのと同じ。何か健太に後ろめたい気持ちが芽生えてくる。でも、絵理の体で和也に抱かれるのは、興味深かく確かめてみたい。
 部屋へと続く廊下は、淡いオレンジ色の壁にダウンライトの明かりが反射している。二人は寄り添う事もなくホテルの部屋に入ったると、部屋の奥にある黄色いソファーに、和也は腰を降ろし腕を組んだ。
「じゃあ脱いでくれる」
 和也が目を細め冷たい目で見る。
 薄暗い部屋の中央で、無言のままブラウスを脱ぎ、スカートが太腿を伝って落ちる。絵理はブラジャーと下着一枚になり、その場から動こうとしない。
 白い壁に組み込まれている3枚の細い鏡に絵理が映っている。ブラジャーに形良くおさまる乳房。背中から腰にかけ美しく描く湾曲と丸いお尻。下着のラインから表面張力のように盛り上がる、白い太腿。
 嫌味な性格を除けば、全てが私の理想とする体。でも、うつむく視線は悲しい目をしている。
 和也が目の前に立つと笑顔すら見せず、下着の上から秘部を乱暴に揉んでくる。愛情を感じない冷たい前戯。
 和也は白い艶のある下着の最深部に手を入れ、そのまま拳で下に押し付ける。
 ビリッ
 繊維が切れる乾いた音。
 謝る様子のない和也は、敏感な所を強くこねまわす。白い下着が手の動きに合わせモゾモゾと動き、単調な指使いに絵理の体が反応し濡れて行く。
 私はこんなのイヤ。
 濡れ始めた花弁に指を奥まで埋め込まれ、指の付根で蕾を押し付けられる。咥え込んだ指で中を掻き回されると、絵理は和也の体にもたれ、柔らかな頬を胸板にあてる。
 荒々しく繰り返される蕾の擂り潰しに体温が上がり出す。快感が脳を占領すると、鼻腔から吐息混じりの声が漏れた。
「んっ・・・」
「俺はお前が解らない」
 和也があきれた様子で放つ言葉。
「じゃあ、やってくれ」
 会話にならない短い命令。
 和也のベルトを外しチャックを降ろすと、ズボンが足元に落ちた。ワイシャツに隠れた青いビキニパンツが見える。
 私は男性自身を触った事も無ければ、間近で見た事もない。月明かりで照らされた健太のモノは、蛇にも見えるし龍にも見える。グロテスクで気持の悪い物には触りたくないし、見たくも無い。
 絵理、触らないで。これから始まる行為に悪寒を感じ、私の見えない手が震える。
 ワイシャツの下に手を忍ばせ、ビキニパンツに浮き上がるものを軽く握る。初めての感触は柔らかく暖かい。これは・・・子供の頃おじいちゃんの池で追いかけ回したアヒル。そう、これはアヒルの首。やっぱり気持ち悪い。
 柔らかい肉が刺激によって、みるみる大きくなり硬さを増す。
 私は思った。和也は絵理を愛していない。絵理の下着姿に興奮もせず、蕾に触れて欲情しない男はいない。
 ビキニパンツの上から顔を出し始めた先端部を優しく揉み続けると膨張のピークを迎えた。
 和也は休めていた指を蕾に当て直し円を描く。より強い快感が思考能力を低下させ、体を疼かせる。
 私なら愛が無ければ抱かれない。絵理は愛されていないと解っていても濡れている。私は絵理の快感を共有し、段々と狂わされて行く。和也のモノを擦り続けながら、徐々に頂点に向かう私と絵理。
 敏感な所をコネ回され、垂直に登り詰めて来る快楽に、足がガクガク震え、膝が体を支えていられない。
「もうダメ、許して」
 絵理が和也に許しを願った。
 和也は手を抜き出すと、甘い言葉すらかけず、黄色ソファーに腰を降ろした。
「じゃあ、下着を脱いで」
 王様の命令のように言いつける。
 絵理はズリ上げられたブラと下着を脱ぐと、肩幅程に足を広げて立った。鏡に映る絵理の乳房は張りがあり、ブラで補正されなくても形が崩れない。乳房の先にピンクの小さな蕾がピンと上を向いている。
  和也が表情を作る事もなく見る。恥ずかしくて胸を隠そうとする。
「隠さないで」
 スー・・・スーー・・・スーーーー
 大切な所から垂れ落ちる透明な液。まだ、和也は許しを出さず、。溢れ続ける液が太腿からも伝わり落ちた。
「ベットに行って」
 初めて絵理の心の声が聞こえた。
「恥ずかしい。前のように優しくしてほしい」
 絵理は濡れたところを拭い去る事もなく、そのままベットの上に腰掛けた。
「さあ早く」
 絵理は掛布団の上に寝転がると両膝を胸に当て、両手で膝を大きく開いた。和也は丸いお尻を大きく持ち上げた。
「見ろ」
 小さく綺麗な所が全部見える。でもそんな事はどうでもいい。
 私なら和也と絶対に別れる。
 指を一本だけヌルリと挿入され、窮屈になった内壁が指に圧迫される。手の平を上に向けると上壁を強く擦り始めた。
「ここだろ」
 なにこれ・・・ちょっ、ちょっ、・・・
 ちょっと待って、今まで感じた事のない快感、これ・・・効く。
 2本に増えた指が速度を上げて擦られる。絵理の体を借りて愛情の無い責めに落ちていく。怒る心とは別に伝わる絵理の快感。
 和也がワイシャツを脱ぎ捨てると、膨張のピークを保ったまま、大切なところに押し当て、甘い言葉を掛ける事無く奥まで貫かれた。
「ウッ・・・・」
 性欲を満たす為だけの挿入と激しい腰の動き、子宮を押し潰す怒涛の責めに快感は無く、絵理と共有する痛み・・・痛い
「イヤ、痛い」
 絵理の口から悲痛が漏れる。
「痛いって・・・俺はお前の事は好きじゃない。付き合う代わりにお前の体を自由にしていい。これがお前との約束だろ」
 絵理の答えも聞かずに抜かれた。
「イヤなら、もう別れよう」
「イヤ、それは絶対イヤ。絶対に別れたくない」
「俺は、いつ別れてもいい、あとはお前しだいだ」
「私は、和也と別れたくない。何でもする」
「まあ、おまえが良いなら、かまわないけど。顔とスタイルは別格だから」
 不毛な会話から何も生まれてこない。
「口でしてもらおうか」
 和也は仰向けに寝ると、絵理は和也の両足の間に正座をした。
 明るい部屋で間近に見るグロテスクに反るもの。しかも私が大嫌いな男のもの。
 私は絵理に問い掛けてみた。
「絵理・・・どうしてここまで我慢するの」
 絵理の返事が聞こえる。
「どうしても」
「絶対に変だよ、別れた方がいいよ」
「絶対にイヤ、和也はファッションの一部。みんなに彼を見せつけたいし。それに私がフラれるなんて考えたくない」
「私には解らない」
「いいの、彼はみんなの前で私を引き立ててくれればいい」
「絵理、絶対その考え方はおかしいよ」
 目の前にある醜い塊が口の中にやっと入る。根元を握り舌と口腔を使い上下に頭を揺らす。急に頭を押さえつけられ、喉の奥まで強制的に入った。
 私はもういい。この体から抜け出したい。
「もっとしっかり」
「んん・・」
 私は絵理の体から逃げ出した。私は薬粒を飲んだ体勢のまま、大切なところをトロとろにさせていた。
 翌朝は不快な目覚めだった。絵理は薄っぺらいプライドを守る為、自慢の体を使ってまで、つなぎ止めている。私には理解が出来ない考え方をしている。絵理には心のより処がきっとない。
 だけど、絵理に与えられたスタイルは、いまだに羨ましい。
 私はいつものように、コンプレックスの体にスーツを纏い会社に向かった。数多い男性社員も私には全く興味も示さない。

 恋人の健太からメールが来る。
 これから5日間、京都に出張に行く。浮気はするな。
 私の相手をするのは健太だけ、他の男は私に声すら掛けない。掛けられるとすれば・・・・
「大きいね〜」

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