たすけて神様(3)  投稿: はるか 様 
 私は今までの3人から何を学んだか解らない。
 一粒だけ自由に使いたい。私の大好きな歌手で憧れの人、安西 みのり。ミリオン級のヒット曲はないけど、透明な歌声には魅了される。
  もし、私の人生が破滅に向かうなら、彼女の生活を一部だけでも覗き見たい。そして出来るのものなら、ステージの上で眩いスポットライトに当たりたい・・・・

 これを飲むと残りが一粒。もう、水は必要ない。
 アロマセラピーの快い香りがする、これは健太がお勧めの香り。
 気持ちの落ち着く甘い香りに包まれ、小さなハートを散らした、ピンクのパジャマ姿が鏡に映る。
 姿見の中からオーラが出ている。一般の美人は出せない、神に選ばれた者だけが出せるオーラ。みのりはベッドに倒れ込み、枕に頭を着ける。物音一つ無い部屋に月明かりがカーテンに広がる、ひっそりとした夜。
 暗い部屋の中で、柔らかく透き通る声が聞こえて来る。
「あの人と出会ったのは、去年の秋が深まったころ。接客用の笑顔を貼り付けない彼は、私を普通の女の子として扱ってくれた。嘘で作られた笑顔と美しさは、この芸能界に余るだけいる。外面と内面が正反対の人も多い。だけど、あの人は純粋な心を持っている。私の目はきっと告白しているはず。でも彼は全く受け取ってくれない」
 みのりの好きな人って・・・
 みのりの小さな手が下腹部を通り過ぎ、下着の上をやり過ごす。
 ・・・まさか
 細い指が下着を食い込ませ優しく擦りつける。何度も何度も繰り返す通り道が湿ってくる。新たな快楽を求めて、下着の中の秘所に辿りつく。小さな指先が敏感な所を中心に擦ると、仄かな快感が作り出されていく。
「佐藤さん・・・」
 彼の名前が小さく漏れる。みのりの妄想までは伝わってこない。でも、妖艶に弄ばれているに違いない。
 優しく敏感な所を自分で責めつづけ、天に昇れる梯子が降りてくる。とろけた秘所から溢れ出る恩恵を塗りつけ、ゆっくり梯子を昇り始めた。
 本能のおもむくまま腰を振り、お尻がシーツを擦る。快楽の梯子の中腹まで昇る頃、枕もとにある携帯を取り、画面を開いて彼の名前を呼ぶ。まぶしい光が放たれ瞳孔が混乱し、やがてぼんやり見えて来た。
 健太が映る待受画面・・・・
 激しい衝動に貫かれ心臓が痛い。始めて経験する感情の底揺れに、おさめる術がみつからない。
「どうして健太なの・・・」
 みのりは、梯子を昇り続けて行く。私には見えない健太に弄ばれ、健太の指が花弁を咲き乱している。
 私は、泣きたくなる気持ちを抑える事ができない。健太が、みのりに奪われ、私は一人ぼっちになる。
 私の心に大きな空洞をポッカリ空け、流れる涙も止められないまま、みのりが梯子を昇りきり、イカされてしまった。
 自分の意志で、みのりの中からは出ていない。気がつくと私は自分のベットで、反り返っていた。
 私はきっと精神病を患い、神様の言う通り破滅の人生を迎えてしまう。私がみのりに勝てるはずがないし、みのりの大きな瞳で何度も告白されたら、絶対に健太は好きになってしまう。
 私は眠れないまま、いつか迎える最悪の日に怯えて震えた。
 健太は明日の午後に帰ってくる。せめて、健太のアパートくらい片付けてあげたい。いつか、みのりが健太の部屋に来た時に、私が掃除をした足跡だけでも残したい。
  健太の部屋の中央で私はペタリと座り込んでしまった。ドアの向こうに私が抱かれたパイプのベットが見える。でも、部屋を暗くして、コンプレスを抱いたまま健太に抱かれていた。
 掃除すら気力が沸かないほど、思い出が湧き上がって来る。昨日までの楽しい思い出が、悲しい思い出に変わっている。
 ポケットには最後の一粒が残っている。だれに入っても同じ気がする。私の運命は変える事が出来なかった。もし、最後に私を変えてくれるとしたら、私の知らない健太を知っているのは、同僚の女の子かもしれない。確信はないけどそれしかない。
 私は脱力した重たい腕で薬粒をつまんで口の中にいれた。
 ガチャ・・・
 玄関のカギが開く音がした。振り向くと健太が立っている。
「健太・・・・」
 私は健太の中に入ってしまった。目の前には座り込んだ私が私を見ている。
「どうしたの、裕美」
 健太が私を呼ぶ声の一方で、違う健太の声が聞こえる。
「もう、裕美とはダメかもしれない。本当は別れたくないけど、これから上手くやって行く自信が無い」
 覚悟していた言葉と解っていても、涙が一気に溢れてくる。
「お帰り健太。寂しかったんだよ」
 私が健太に抱きついてくる。両手を健太に廻し胸に頬を擦り付ける。私の胸がグニュリとなるまで、しがみついている。
「ねえ、お帰りのキスは?」
 私のいない私が・・・私の嫌いな馬鹿女になっている。
 私が強引にキスを迫り、唇を重ねて来る。まして舌まで入れて、健太の舌をツンツン突いている。
  「どうしたの、裕美?」
 健太が同じ言葉を繰り返す。
「だって、1日も早く会えたら嬉しいじゃない」
 健太の手が私の頭を撫でながらキスをする。健太の舌が私の中に入いり、舌を絡ませ濃厚なキスを続ける。私は私の嫌いな深いキスを拒もうとしない。いつもなら歯を閉じて抵抗していいる。健太の体が溶けそうな感触が伝わる。
 健太はこんな感じがするんだ・・・
 私の胸を揉んでいるのが見える。ポロシャツを捲り上げて、無理やり手を入れ、下から包み込み尖った先をすり潰す。
 なんか、健太のモノがムクムクと成長を始めると、別なモノに変化してパンパンになった。。
 健太がスカートの上から大切なところに手を当て、無造作に力を入れる。立ったまま、スカートを捲り上げ下着の上から蕾みを押し付けている。
 健太の興奮と男の欲望が、ムラッと伝わって来た。
 私の肩を下に押し付けられ、床に寝そべっている。健太の両手が下着に触れると、腰を浮かしている。剥ぎ取られた下着はソファーの上に投げられた。
 敏感なところに指を這わせと、私はもう濡れていた。指先で優しく擦ると耳元で私が喘ぎ声が聞こえる。
 得体の知れない獣の本能が、健太を支配して行く気がする。
 私の両足が持ち上げられ、胸の上で折り曲げられる。そして大きく開かれてしまった私のたいせつな所を私がマジマジと見ている。全く抵抗する様子はない。抵抗するところか、トロけそうな瞳で私を見つめている。
 目の前にいる私は私じゃない。私なら絶対に見せない。どうせ、捨てられるなら、もう、どうでも良いと思った。
 私の花弁は怪しくヌメリ光っている。健太の口先が近づき蕾を含むと吸い上げながら、舌で転がした。強弱をつけながら集中的に責め続ける。
 私は恥ずかしがる事もなく、喘ぎ声が大きくして行く。腰が微かに動き出し、もう少しで絶頂を迎えようとしているのが解る。
「あ〜・・・」
 私が健太の頭を鷲づかみして、強引に引き剥がした。
 健太は私の両足を開かせたまま、包み込むように抱きしめキスをする。両手で頭を撫でながら深くて永いキスをした。
 本当は付いていないモノが唐突に擦られている。
「してあげようか?」
 私は気が狂いそうになった。私は絶対にそんな事しない。健太だって求める訳がない。
「本当に?」
「だって、してあげたい」
「ありがとう。じゃ、おねがい」
 私がスーツのズボンを脱がし、トランクスを捲り健太のモノを露にした。両手を添えて口に含むと、私の歯が当たる。
 少し痛いのが伝わってくるけど健太は我慢している。上下に頭を揺らし奉仕をしている。お世辞にも上手とは思えないが、舌まで使って尽くしている。
「裕美、もういいよ」
 私が咥えていたモノを出し、目をクリンとさせ、笑顔で健太をみつめている。
「今日の裕美は別人みたいだね」
「そんな事ないよ」
「いつもと全然違うって」
「今まで隠していただけ。今日が本当の私だよ」
 本当の私なんかじゃない。本当の私はここにいる。
 健太が私の両膝を押さえ上体を起こした。私のたいせつな所に視線を移すと、そこに健太のモノを押し当てた。
 私が私に挿入する。暖かい窪みに先っちょが埋まって行く。健太の腰で押し込むように、残りの部分を埋め尽くした。
 ヌメル内壁が絡みつき、局部的な快感が直接脳に伝達される。
 器用に腰だけを動かし抜き差しする。私に抱かれる私は、口を半開きにして、短い喘ぎ声を発している。そして・・・
「・・・・中に出しても良いよ」
 健太の腰の動きが止まった。
 私の唐突な言葉に驚愕して頭がパニックなった。もう自分に戻りたくない。
「出来ちゃうよ」
 健太が心配そうに言う。
「ん〜私はいいよ。健太が大好きだから」
  健太が迷っている。でも、後先を考えない人じゃない。
「なんか、うれしいな」
 私を包み込むように抱きしめキスを繰り返した。健太の腰が再び動き出し、奥の奥まで突き上げコリコリした感じが伝わる。そして大きく腰を回転させて中を掻き回した。
 私の粗い呼吸に混じる喘ぎ声、健太にしがみつく腕の力が強まって来る。
 私がイキそうになっているのが解る。腰の動きを早めて責め続ける。健太が快感に耐えている。きっともう少しなんだ。
 男の人って最後にどうなるんだろう・・・
「もういいから、自分の体に戻りなさい」
 神様の声が聞こえた・・・・なんか聞き覚えがある。
 自分に戻ると、激しい快感に飲み込まれながら昇り詰めていた。私は健太の首と背中に腕を巻きつけ、健太の突き上げに歓喜し快楽を貪っている。
 震える喘ぎ声を止める事も出来ず、健太が終わるまで快楽に耐えたい。頭がボーっとしてきた。もうダメ、でも一言だけ伝えたい。
「心から愛してる、健太」
 健太からDNAが放たれた。ドクドクとした鼓動が小刻みに伝わって来る。
「俺も愛してる・・・」
 私がとんでもない事を口にした。
「いっぱい出た?」
 昨日までの私なら絶対に言えなかった、はしたない言葉。
「ああ・・・きっと出た」
 私は今まで、無性卵を抱きつづける親鳥のような恋をしていた。これからは実りのある恋が出来そう。でも、私があんなエッチな事できるかな・・・

               ☆

 私はお礼参りに、いつもの神社に来た。気持ちよく大きな鈴の音が鳴った。
 パンパン
 神様ありがとう。たすけてくれて・・・
 私は、心の底から感謝した。あれから健太とは、何も包み隠さず何でも話が出来るようになった。コンプレスの原因は体じゃなく、自分の心がコンプレックスを作っていた。
 強く強く手を合わせてお礼すると、また軽い眩暈が襲って来た。今度も冷たい神社の中に私がいる。近くから老人の声が聞こえて来るけど、もう怖くないし、ちゃんとお礼が言えそう。
「良かったな」
 声が発せられる方を見ると、一人の老人が立っている。仄かな白い煙の中にぼやけた姿が見える。隙間風で煙が流れて行くと、その老人の顔がハッキリ見えた。白くて太い眉毛に彫りの深い顔は去年亡くなった私のおじいちゃん。
「えっ、おじいちゃん・・・おじいちゃんが守ってくれたの?」
 おじいちゃんの目尻を下げた笑顔が見える。
「そうじゃ」
「ありがとう・・・とてもうれしい」
「最後の愛してる・・・あれは心がこもって良かった」
「そうかも・・・えっ、ちょっとおじいちゃん」
「んっ?」
「もしかして見てたの?おじいちゃん!」
「ん、ん〜」
「見てたんだ!おじいちゃんの変態!!」
「でも、良かったじゃろ。上手くいって」
「知らない、孫のあんな姿をみるなんて!お墓参りになんか行ってあげないから・・・」
 
―――――終わり―――――

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