サイダーみたいに弾けて甘く (投稿:アンジ様) あっちーあっちぃー! 大きな声を張り上げながら部室のドアを勢いよく開けて顔を見せた君は、入ってくるなり持ってた上着を放り投げて扇風機をつけた。 「あー君、畳の上に砂落とさないでよ掃除したばっかりなのに!」 「え?あーゴメンゴメン!」 君は靴を脱いで畳の上に上がろうとするけど、さっきまで砂の上を走り回ってた君はソックスまで砂まみれ。足先まで真っ黒で、せっかく掃除した部室がまた砂で汚れていった。 「まーしょうがないじゃん?やきゅー部は汚れてナンボ!」 「それはわかるけど・・・、あーもう水こぼさない!」 給水タンクからお茶をコップにも入れずにそのまま口の中へ落す君の、口端からボトボトとこぼれるお茶が床に落ちていく。もう、なんだってこの人はこうも部室を汚すことの天才なのか。天才なのは打線だけにしてほしい! 「はなんでいんの?」 「真木が今日南高の見学に行くっていうから一緒に行こうと思ったんだけど、真木が部員の人たちのランニングに付き合ってからにしてっていうから待ってるの。で、ヒマだからちょっと片付けようかなぁって」 「それはさんきゅー!きたねーもんなぁここ」 わははと笑い飛ばす君は、きれいにならない部室を作る名人だ。 扇風機の前で風を正面から受け、大量の汗を畳に吹き飛ばす。 もう、せっかく畳の上の砂を掃いて雑巾がけまでしたのになぁ、と悔しくなる一方で、この真夏にあそこまで汗をかく練習をしてるんだから、そんなことに文句言っちゃいけないんだとも思う。 「君は?ランニング終わったの?」 「俺は今日別メニューだったのさ。今度の試合でちょっとやってみたいことあるっていったらコーチがそれに集中していいって言ってくれたからさ」 「へぇ」 部室のドアから君が脱ぎ捨てたスパイクまで、黒い砂の足跡が続いてる。 私はまたほうきを持ち出してきて砂を履き、それを見ながら後ろの君がまたおおらかに笑う。 「はマメだなー。そんならマネージャーなればいーのに」 「私は・・・、ムリだよ。野球詳しくないし、片付けとか掃除くらいしかできないもん」 「いーじゃん十分じゃん。俺らとにかくキタネーから掃除してくれる人いるとチョー助かる!」 君は扇風機の風で遊んであーあー繰り返してる。 「だけど、やっぱり私には無理」 「なんで?がいたら、なんかもっと楽しくなりそー」 ガランっ・・・ 思わずほうきとちりとりを落としてしまうと、君にドジーと笑われた。 私は急いでそれを拾って、頬に感じた火照りを誤魔化すように部室の奥へ片付ける。 「、そこのポカリ取って」 「え、あ、はい」 ほうきをロッカーに入れると君はすぐ隣の小さな冷蔵庫を指さす。 それを開けると中からヒヤリと肌を撫でる冷気が出てきて、その中からポカリが入ったペットボトルを1本取り出した。それを扇風機の前にしゃがみこんでる君に渡すと君はあんがとーとまた笑って、私もつい一緒に笑ってしまった。 私も、野球部のマネージャーにはなりたいと思ったことがある。 あんまり大きな声で言えないけど、そのために真木と仲良くなって、一緒にマネージャーになれたらなって、思ってた。 でもやっぱり、私はもう、マネージャーにはなれないと思うんだ。 「なー、なんでマネージャー無理なの?」 「え、」 ごくごく喉を鳴らす君のペットボトルは、みるみる中身が減っていく。 「だって」 「うん、だって?」 「・・・」 だって、今私野球部のマネージャーになんてなったら、たぶん・・・ 「だって、マネージャーになったらやっぱり・・・、君ばっかり、応援してちゃダメだしさ・・・」 「・・・」 また頬が火照ってきて、目の前にいる君を直視出来ない。 畳に正座した上で握ってる手をさらにぎゅと握ると、その私の膝もとにコロンとペットボトルのふたが転がってきた。それを見てふと力を緩めた私はゆっくり目を君に合わせる。 目の前で君は、ちょっと、ポカンとした顔をしてた。 うわ、やっぱり、変なこと言っちゃった。 慌てて何かを言おうとするんだけど、あのとかえっととかばかりしか出てこなくてちっとも場を和ませることが出来なかった。 「そっか、そーだな、そりゃダメだ!」 そんな私を前にして、君は空になったペットボトルをぽいと捨て去って、扇風機と向き合ってた体をまっすぐ私に向き直した。君は身を乗り出して私のすぐ近くまで顔を近づけて、扇風機の風が君の後ろ髪をそよそよ撫でる。 「が他のヤツ応援してたら俺もー打てなくなっちゃうもん。うん、ダメダメ。はたまにこーやって真木の手伝いに来るくらいでいーよ」 「あ、うん・・」 「あーなんか、俺チョーやる気出た!」 そう君は、こんな部屋の中であの真夏の太陽を連想させるような、眩しい笑顔を向けた。その顔があんまり傍で輝いてるものだから、私はまた頬を火照らせて、それでも嬉しくて同じように笑った。 「」 「ん?」 「キスしよーっか」 「・・・」 私は目の前の君を見つめたまま、君の言葉を必死で理解しようとした。 そのくらい君の言葉は突飛で、予想外で、直球だったのだ。 「え・・・、えっ?」 「キスしよー、そしたら俺もーっとやる気出る!」 「え、けど、ええっ?」 なっ、と満面の笑みで顔を近づける君が、乾いた汗を白く残した手で私の手首を掴んだ。私はわぁと慌てるんだけど、どんどん近付いてくる君から身を引くんだけど、君はお構いなしに畳に手を付きどんどん近づいてきた。 「わ、待って、だって、ここ部室っ・・」 「だいじょーぶ、みんなまだ走ってるから誰も入って来ない来ない」 「そんな、だけど、だけどっ!」 「!」 言い聞かせるように、ピシッと君は私を呼ぶ。 その声に私はぐと言葉を詰まらせて、ヨシ!と笑う君の近づいてくる口に、ぎゅと目をつむった。 ふっと、君の息が口唇にかかる。 しっとりと、口唇が口先に触れ、そのままぐいと深くにまで君は口づけた。 「んっ・・・」 触れても、私の体を押す勢いで君はどんどん近づいてくる。君のアンダーシャツの肩をぎゅと握ると、君は私の髪と腰に手を回して、 「・・っ、く・・、わっ」 どんどん距離を詰めてくる君に、私はギリギリまでお腹に力を入れて耐えたけど、ついにそのまま後ろに転げてしまった。畳についた肘が少し痛んで、正座してた足先がぽんと宙を蹴ると、スカートがふとももくらいまでめくり上がった。 いたた、と目を開けると、君が目の前にいて、畳に手をついて私を見下ろしていた。私は瞬間で理解できず思わず見つめてしまって、キャップをかぶってる君もそんな私を彼らしくもなく静かに見下ろしている。すると、床についていた君の左手が、私の下腹部にぺたりと置かれた。 「う、君・・」 「・・・、していい?」 「・・・」 ドキンと心臓が破れそうなくらい胸を打った。 その鼓動で全身が波打つようで、外の蝉の声も部活の音も隣の扇風機の音も何も聞こえなかった。私は今度は頬だけじゃなく全身が火照ってきて、体がじとりと汗ばんだ。 「だ・・だめ、ダメだよ・・・」 「大丈夫、みんな行ってんの外周だから30分はかかるし」 「そういう、ことじゃなくて・・」 「イヤってこと?」 「そうじゃないけど、でも、・・・」 思わずぽろりと毀れた私の言葉を聞いて、君はパッと表情を明るくした。その顔に私はまた、ぐっと何も言えなくなってしまって、一瞬でチュとキスした君に押されてそのまま畳に背をつけた。 「」 君は今度は、私の名前を呼ぶ。 私はそんなことできゅうっと締めつけられて、君の目に力を吸いとられた。 君の口唇がまた強く私の口を塞ぐと、君の器用な指がプチプチと私のシャツのボタンを外していった。チュ、チュ、と肌に吸いつきながら、君の口先は開いたシャツの合間へ沈んでいく。 だんだん下へと下りていく感触に、私は我慢できなくてぎゅと目を閉じた。 君の手が私のおへそあたりまでボタンを取ると、スカートの中からシャツを引き抜いて、今度は素肌のお腹に手を添えて胸へと遡って、ちょうど私の胸で君の手と口先がかち合った。 逆さまに見えてる部室の天井と窓は、いつも通りの放課後を見せている。 外では誰かが笑いあいながら通り過ぎて、蝉がみんみん騒いで。 そんな外の世界から隔離されたかのような、野球部の4畳半の部室。 私の胸で手と口をふんだんに使い遊んでた君は、だんだん苦しくなってきたのか、練習着のベルトを外し腰まで下げる。私の全身をペタペタ撫で下ろし口づける君の手が、またどんどんと下がっていって、めくり上がったままだったスカートの裾から中に手が侵入してきて、下着越しに指をつけた。 「ひゃ・・」 喉の奥から吹き抜ける声が発されると、君は一度顔を上げて嬉しそうに笑った。 「いー声」 そしてまた私の肌にチュと吸いついて、胸の刺激を煽った。 君の手は、下着越しに私の脚の奥をつんつん刺激して、こする。 胸は何とか声を押さえられたけど、そこは、刺激が強すぎて、ぐっと口を押さえた。 「ん、ん、・・」 「ちょっとくらいなら声出ても大丈夫だよ」 そう言って君は、さっと私の下着を膝まで下げてしまう。 そこがひやりと外気にさらされて、私は身をすくめた。 なんだか、いつも以上の恥ずかしさが私を襲っている。 いつ誰がこの部室のドアを開けるかもしれない。 いつもみんなが騒いでる部室。学校。 「っ・・・、君・・」 「ん・・」 君の指がゆっくりと私の足を滑って、最奥に行きつく。 「あ・・・、俺あんま手キレーじゃないや」 ぽっと思いだしたように君は手を引いて、どうしようかなぁと悩んだ。 恥ずかしさと刺激で頭の中が沸騰してしまいそうだった私はふと息をついた。 だけど、君は突然名案を思いついてパッと笑顔になり、今度はまた突然に私の膝をぐいと上げさせたのだ。膝には自分の白い下着が引っ掛かっていて、なのに足を上げさせられて、しかもその向こうに君はいて、私はまたキャアと声を上げた。しかも君は、さらされたそこをぺろりと舐めたのだ。 「ひゃっ!や、やだっ」 「うわ、今すごい出た、どろって出た」 「や、やだ、そんなのっ・・」 「指で触られるよりきもちかった?」 味をしめたような君が楽しそうに私の脚の向こうから顔を覗かせる。 「いやー、こう、改めて見るとなかなか・・」 「もう、やだぁっ・・・」 「あ、またドロッて出た。これってアレかな、視姦てやつ」 「くんっ・・・」 私は少し頭を上げて田島君に目をやったけど、私に見えたのは自分のさらけ出された脚と、その膝に引っ掛かってるショーツと空を蹴るハイソックスの紺だけで、君の顔は見えなかった。 けど君は、私のひざ裏を押さえて眺めたり息を吹きかけたりする。 私が恥ずかしさでギュッと力を込めると、また濡れてしまうそこに君は笑う。 面白がって笑いながら、赤い舌を出してペロペロっとそこを舐め続けてる。 「ふぅんっ・・・、んっ、んっ」 触れるたび敏感に反応して、膝がぐらぐら揺れる。 君はその膝をぐと押さえたまま、舌先でちょんちょん弾いてみたり、ぐっと押し付けてみたり、ぐるぐる回してみたり、吸ってみたり・・・。そんなことをしてるのに、犬になった気分だなぁなんて平気な声で言う君は、まるでしっぽでも振ってそうな腰つきでねとりとやわらかく、生暖かい感触をもたらせ続けた。 ぞわりぞわり、刺激が込み上げてしょうがない。 感じたことのない感触が触れるたびビクンビクンと足先が揺れた。 次第に君がわざとらしくクチュクチュ音を立てるから、私のもう耐え切れずにじわりと睫毛が濡れた。君曰く、今までで一番、そこも濡れていた。 「んっ・・、も、ほんとに、ダメ・・、くんー・・」 「んー、さすがにもうみんな帰ってきちゃうかなぁ」 私の脚の向こう顔を沈めていた君がふと顔を上げる。 私はひとりで踊らされてる気になって、恥ずかしくて顔を隠した。 そんな私に、どーしたのなんてわざとらしい声をかけながら、君は私の目の前まで戻ってくる。足が畳について、ホッとした。 知らない間に、足元に君の練習着のパンツが脱ぎ捨てられていた。そして君は、私の足を両脚で挟みこんで、狭い隙間しかない私の脚の間に、腰をおろした。 両の太ももの間に、柔らかいような硬いような感触の細いものが差し込まれる。 最初はゆっくり、だんだん速く腰を上下させて、目の前で田島君はハと息を吐いた。 「脚、もっとぎゅっと閉じてて」 「ん・・」 私の顔の両サイドに手をつく君は、その腕をピンと伸ばしたところで汗をぽたりと落とす。ただでさえ夏が近づいた季節に、あるのは小さな扇風機ひとつ。窓もドアも開いていない。何より私も君も、体の中から熱が込み上げてきてる。 「んっ、んっ、んっ」 私の両脚にモノを挟んで、君は腰を動かす。 だんだん余裕なく腰を押し付け出す君の表情が苦しそうに引き締まる。 「あーくそ、入れてー・・・」 「・・・」 刺激にぐっと口を引き締める君は、ずっと脚に挟んでこすりつける。 あまりに突然にこんなことになってしまって、まさかふたりともコンドームなんて持っていなかった。君はとてもつらそうで、なんだか私は申し訳なくて、頭の片隅では入れてもいいと思っていたけど、口には出せなかった。 君は一度私の間から引き抜き、また私の下着の引っ掛かった両膝を上げさせて、今度は反対側から太ももの間に入れてこすりつけた。ほんとはとても苦しくて、そのまま入れてしまいたかったんだろう、でも君は苦しさと戦いながら、私の脚をきつく閉じさせて腰をペチペチ当て続けた。 さっきまで君の舌がじらしてたおかげでしっとりと湿っているそこが、私ももどかしい。時々先が当たってすっと入ってしまいそうになるけど、君は「んーっ」と大きな声を出しながら引き抜いて、力を込めて我慢して私を守ってくれていた。 「あー、出るっ、出そうっ」 「ん・・・」 「アッ・・、ごめ、、出るっ・・あっ・・」 上げさせた脚の上から押しつぶす形でぎしぎし床を軋ませる。 どんどんスピードを増して突きつける君はもう駄目だと引き抜くけど、我慢できずに途中でどろりと飛び出てしまう。べたりと白濁の液が私の脚と床に毀れて、まだ息落ち着かない君は切れ切れにゴメンと呟いた。 「あ、ヤバ、あいつら戻ってきた」 傍の窓の外から聞こえ始めた声で、君は荒れた息を飲み込んで汗を拭う。 急いで傍らのズボンを取り履いて、私も起き上がって下着を上げたかったけど私の足にはまだ君の精液が残っていて、すると君は急いで隅のロッカーの上からトイレットペーパーを取ると私の脚についた自分の精液を丁寧に拭き取った。 「ごめんな」 「え?」 「やー、その、次はちゃんと、一緒にキモチくなるよーにするから・・」 「・・・」 キャップの下でなんとなく恥じらった表情をする君は、見慣れなかった。 畳に毀れた分もささっと拭き取って、小さく丸めてぽいとゴミ箱へ捨てる。 「ちゃんゴメーン、待った?」 「あ、ううんっ、ぜんぜんっ」 ガチャリと部室のドアを開けて駆け込んできた真木は汗いっぱいで謝る。 「あれ、ももう終わってたの?みんなこれから少し休憩してから守備練習だって」 「あ、おお、じゃ俺も一緒にいこーっと」 そそくさと立ち上がって、田島君はみんなのいるグラウンドへ出ていった。 パタパタ遠ざかっていくうしろ姿はまるでいつも通りで、なんだかちょっとおかしい。 「もう外あっついよー、汗だくなっちゃった」 「あ、そうだね、大丈夫?」 「うん。じゃーいこっか」 「え?」 「えって、南高だよ」 「あ、ああ、うん、行こ行こ」 ほんのついさっきまで、外の世界とは隔離されてるんじゃないかという空間だった部室は、普段の空気を取り戻して、いつもの部室になっていた。グラウンドの隅のベンチで休憩してるみんなの声も聞こえるし、君の笑い声も、蝉の声もいつも通りに響いてる。 「あれ、、背中すっごい汗かいてる。ちょっと透けてるよ」 「えっ?」 「あんな小さい扇風機じゃ弱いよね。でもこれじゃ外歩けないよー、ジャージで良かったら上貸すけど」 「あ、うん、ありがとう」 真木と部室を出ていくと、私たち以上に汗だくになる他の野球部の人たちが木陰でドリンクを飲みほしていた。真木がいってきまーすと部員や監督さんたちに言うと、みんな手を振って見送ってくれた。 みんなの中で知らん顔をしてる君は、ひとりそっぽ向いてドリンクを飲んでる。 何もなかった振りが苦手な君は、大人しくしてるほうが何かおかしいと疑われてあたふた笑って誤魔化していた。 グラウンドを出て自転車で走りだそうとすると、遠くでまだ休憩中の野球部員の中で、君がこっちに振り返ったのが見えた。 いつものように手を振るでも、大声でいってらっしゃーいと叫ぶわけでもないその慣れない無言な君が、なんだかとても愛おしかった。 ―――――終わり――――― 彼といつもより刺激的な♡エッチ 女性のための官能小説・目次 |