巻き戻された想い出(2)  投稿: 紅紫 様 名前変換 
5ヶ月間のブランクを一気に埋めようとするかのように互いを激しく求め合い、数え切れないほど達し続けての腕の中で深い眠りに落ちていたが目覚めたときには、窓の外はすっかり陽が落ちてイルミネーションが瞬いていた。
起き上がろうとして身体のまわりに散乱した枕が行為の激しさを語っては恥ずかしくなったが、気配で目覚めたに肩をつかまれて、再び腕の中に呼び戻された。
頭を腕に包まれて髪を撫でられているうちに、はこの上ない幸せと切なさを感じていた。
「幸せ…」
「うん…ぼくも…」
髪に触れていたの手が、指先を立てながら背中を降りると、ぞくぞくする感覚がを襲って、声が漏れた。
「起きようか?」
を促すようにが上体を起こしながら微笑む。
脱ぎ捨てられたワンピースを、自分の服より先に拾って畳み始めたにいつもの優しさを感じてはその腰にしがみついていた。
シャワーブースがガラスで区画されている広いバスルームからは、ブラインドを開けると外の景色を眺めることができる。
バスタブにお湯を張りながらふたりでシャワーを浴びていると、ドン!という音とともに窓ガラスが震えた。
「あ、始まっちゃった」
「花火?」
「うん、一緒に観ようと思って…」
いつもは8月初めに行なわれる花火大会が、今年だけは月末に延期されていたのだった。
明かりを消し、ブラインドを上げて、広いバスタブに並んで身体を沈めると、目の前には観覧車が回り、その向こうに大輪の花火が上がっていく。
バブルバスに包まれながら、はこのまま時間が止まればいいと思っていた。
湯気で窓ガラスが少しずつ曇り、イルミネーションと花火が滲んでいく。
首筋をの唇が這い、両方の胸を後ろから柔らかく包まれているうちはまたたまらない感情に迫られて、その手が自然にの股間に伸びた。
ほんの少し前にの中で激しく果てたそれは、もう固く屹立していた。
には、のものが身体の中に入っているのと、手のひらの中にはいっているのとはほとんど同じ感覚だった。
握り締めているだけで自分の身体を貫かれているような感覚に陥って、感じてしまう。

「のぼせちゃうね」
すっかり感じてしまっているをさえぎるようにが言った。
「うん」
「出ようか」
「はい…」
我に返って、もそう答えた。
続けざまに上がっては開く尺玉を眺めながら軽くシャワーを浴びてガウンに着替え、よく冷えた部屋に戻ると、バルコニーの向こうは透き通って観ることができた。
「外で観ようか?」
が冷蔵庫から冷えたビールを取り出しながら言う。
小さなバルコニーだったが、鋳鉄製のテーブルの前に椅子を並べて置くことができた。
このときばかりはイルミネーションを消された観覧車が、目の前をゆっくり動いていく。
おそらく全てのゴンドラに客が乗り、同じほうを向いて花火を楽しんでいるはずだった。
このバルコニーにも自分たちと同じような過ごし方をしているカップルがきっとたくさんいるに違いないとは思ったが、その中のほとんどは世間から許されるふたりなのだろうと思うと切なくなった。
並んで座ったの手がの方を抱きながらガウンの中へ忍び寄ってくる。
「だめ、見えちゃうわ」
「わからないよ。みんな花火観てるだろうし」
「だめだってば…」
の左手を払おうとすると、右手がガウンの膝を割ってきた。
「もうっ! だめだってば!」
そう言いながら、肩を抱き寄せられては自分の身体に火が点いたことを止めることができなかった。
「いやよ、だめ…」
が大好き…」
耳朶をそっと噛みながら、耳元で囁かれるとの右手が無意識にの膝の間に伸び、再び固くなった彼を捉えた。
「ああ…」
思わずの口から吐息が漏れる。
ガウンの襟元から差し込まれたの左手は先の胸を包み、乳首を柔らかくつねる。
右手が裾から深くもぐりこみ、穿き替えたばかりの薄いショーツの上から蕾を探っていた。
「感じちゃうから… だめ…」
ことばとは裏腹にの手にも力が入り、めくれたガウンからあらわになったをいじめていく。
握り締めたその先端から露があふれ、の手のひらが滑るように濡れるのを感じて、の興奮は高まっていった。
「だめ、だめ…」
湧き出てくる蜜を指先で運びながら蕾を爪の先で掻かれ、の脚先が強張ってきた。
「だめ、そんなことされたら…」
「いっぱい濡れてる…」
さんも… すごく濡れてる…」
「気持ちいいよ…」
「うれしい…」
それぞれの手の動きがいっそう激しくなって椅子が動き、小さな軋み音を立てるが、花火の音に消されて聞こえなかった。
「ああ…、いい…」
…」
「いい…、いいの…、そこすごくいいの… ああっ」
「ぼくも、いい…」
ふたりの目にも耳にも、外のできごとは入ってこなくなっていた。
「もう、だめ…」
「一緒にいこ…」
「いかせて… 一緒に!」
「うん」
「あたし、もうだめ… いきそう… いっちゃう」
「ぼくも!」
「一緒に! 一緒にいって… いっちゃうっ…」
「ぼくもいきそう…」
花火がフィナーレのスターマインに移って、これでもかこれでもか、というほどの饗宴になっていた。p 「あたし、いっちゃう! いっちゃう! いく、いく、いく、いくっ!」
「ぼくもいく、いく、いくっ!」
夜の街にはじけるような轟音を響かせながら閃光が炸裂すると同時には激しく達し、の身体からは二度三度と白い炎がほとばしって闇の中に消えた。

―――――終わり―――――

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ステキな小説をありがとうございました^^
彼といつもより刺激的な♡エッチ

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