最初で最後のmake love 1 私は24歳の会社員。名前はゆき。 私には付き合って3年、そのうち2年は半同棲している彼氏がいる。 先月には大きなバラの花束を貰って、プロポーズしてもらって幸せいっぱいの女のはず…。 だけど私にはどうしても忘れられない男性がいる。 それは元彼の義人だ。 彼とは高校卒業と同時に遠距離恋愛になった。 その距離は、高校生の私には大変なものだった。 飛行機を乗り継がないと会いにいけない。 今でも毎月行けと言われたら、大変かもしれない。 「遠距離なんて、ゆきは嫌だろう?別れる…?」 義人の大学が決まった時に言われてしまった。 私は別れるなんて絶対に嫌だったから、卒業するまで一緒にいてもらった。 義人は大学生になり、私は専門学校へと通うようになると、次第に義人からの連絡が少なくなった。 夜中に来たメールを見ると、『サークルの飲み会だった』とか私をイラつかせるものばかり。 数ヶ月の間、我慢していたが、とうとう別れてしまった。 別れてからはずっと後悔し続けた。 私がつまらない女だったから、飽きられたんじゃないのか。 もっと優しくしておけば良かったとか、連絡が来なくても耐えられるぐらい、心の広い女だったら続いたんじゃないかとか、考えても仕方ないことをいつまでも頭の中で反芻した。 そんな失恋の傷を癒してくれたのが今の彼だった。 とても誠実な人で、女性が喜ぶこともさりげなくしてくれる、 真面目だけが取り得のつまらない男じゃない。 彼みたいな男性と結婚したら幸せな家庭を築けるだろうと分かっている。 結婚は恋愛と違って「好き」だけじゃやっていけない事も想像できる。 今の彼をずっと好きでいられたら幸せだろうに…。 でも時には倦怠期がくる。 同じようなセックスにも飽きてくる。 毎日一緒に寝ている限り、ときめくなんて言葉は忘れてしまいそうだ。 そんな時、元彼を思い出してしまうのだ。 別れてしばらくは気まずくて連絡できなかったが、 私に彼氏ができると自然とメールや電話をできる仲になった。 相談をしたり雑談をする良い関係だ。 たまに、冗談っぽくHな話もするけれども、実は元彼とは一度も体を交わらせたことはない。 高校時代はお互い実家暮らしで私が怖がっていたせいか最後まで事に及ぶことはなかった。 今の彼が私の初めての相手だった。 セックスの楽しさを教えてくれたのも彼。 今の彼氏は会社の営業担当で地方に出張に行くことも度々あり、 寂しくなった私は元彼と連絡をとってしまう。 ドキドキしながらメールしたり電話している私を、今の彼氏が知ったらどう思うだろう。 今度の週末、義人は友人の結婚式に出席するために地元に帰ってくるという。 「金曜の夜は結婚式だからいいけど、土曜は暇なんだよな。実家に帰っても気使うだけだし」 その時はちょうど私の彼氏は出張に行くと聞いている。 これはチャンスかもしれない。 「じゃあ、デートしよっか」 冗談で言ってみた。 「いいよ」 どきっとした。 週末になるのが待ち遠しく、内心わくわくしていたのだが、彼氏の前では平静を装っていた。 相変わらず私が傍にいる時は優しい彼氏だった。 興奮してよく眠れなかった。 土曜日の朝。 出張に行く彼氏を見送り、ドアを閉めると私は別人になる。 着ていく服を熱心に選び始めた。 義人と会うのは夕方である。 テレビをうわの空で見ながら、そわそわしながら一人の時間を弄んだ。 一応、シャワーも浴びておこうかな。 それなりに綺麗に洗って、メイクもいつもより丁寧にして。 義人とは家の近くの駅で待ち合わせすることになっている。 電車から降りてくる人の流れをぼーっと見ながら待っていた。 この服変じゃないかな?肌荒れ目立たないかな? 緊張していると必要以上に気にしてしまう。 人ゴミに紛れて義人はやってきた。 ついに来てしまった・・・。 「久しぶり」 ああ、あの頃よりは少し大人になったけど笑顔は変わらない。 「久しぶりだね」 緊張して恥ずかしかったからぎこちない笑顔になっただろう。 ダメだな、もっとリラックスしなきゃ。 「お腹すいたな。どっか食べに行こう」 「うん」 近くの居酒屋に入って色々話をした。 大学時代のサークル、ゼミのこと、お互いの就職活動のこと、今の仕事のこと。 あまりお酒が強くない私は、女の子が好きそうなアルコール度数が低いお酒を控えめに飲んでいた。 折角の再会なのに、泥酔して次の日には記憶がなくなっていたなんてそんなの絶対に嫌だ。 でも少し飲んだだけで、程よく酔いが回ってきた。 next→ 愛しの彼といつもより♡なHを 女性のための官能小説・目次 |