すれ違い 2

 観覧車から降りた後は、いつもと違う雰囲気だった。
 口数は少ないけれど、2人は手をしっかりと繋いでいて心が通じ合っていると綾乃は信じていた。
 疲れた顔のサラリーマンや携帯に夢中になっている高校生がいるホームで、電車を待ちながら守山が言った。
「今日泊まって行くか?」
「い、いいの?」
(とうとう今日、初体験するのかな・・・?)
 凝りもせずに、今日もお気に入りの下着を身に着けている綾乃の胸に期待が広がった。
 守山の家に着くと、シャワーを浴びた後、2人で寄り添ってテレビを見ていた。
「そろそろ寝るか・・・」
「うん・・・」
「一緒に寝よ」
 綾乃は守山に促されるようにベッドに入った。
「綾乃」
 これ以上ない位に緊張が高まっていた綾乃は、守山に呼ばれてドキッとする。
(ついに・・・来た・・・)
チュッ・・・
「おやすみ・・・」
 守山は横を向いて綾乃の頬に軽くキスをすると、再び仰向けになって無言になった。
(ん・・・?ほんとに寝るの?)
 少し経つとすーすーと寝息を立てている守山に気付き、不安は確かなものとなった。
「うそ・・・」
 綾乃は守山から「泊まっていかない?」と言われた時には、当然誘われているものだと思っていた。
 キスを済ませた恋人同士が同じベッドの中にいる。それなのに、綾乃の体には指一本触れないというのはどういうことなのだろう・・・。
 綾乃はショックのあまり明け方過ぎまで眠れなかった。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 綾乃はそれからも何度か守山の家に泊まりに行ったが、 相変わらずベッドでただ「眠る」だけだった。
 ベッドの中で抱き合ったり、キスをしたりすることはあってもそれ以上進むことはないのだ。
 大事にされているのかもしれないが、時には自分をみて欲情して欲しかった。
 守山の横顔を見るともっと触れて欲しいと願う。
 守山と唇を重ねていると、体の奥に疼きを覚えてしまう。
 逞しい胸に抱かれていると、素肌で触れ合いたいと思う。
 男性経験のない綾乃でも、それが性的な欲望だということは分かっていた。胸に秘めた切ない気持ちは、日に日に強くなり溢れ出してしまいそうになる。

 ある日、いつものようにキスが終わると、綾乃は守山に尋ねてみた。
「ねえ」
「ん?」
 守山は雑誌を読みながら、耳だけ綾乃の方に傾けている。
「幸太って・・・えっちな事とかしたくないの?」
「・・・誰と?」
 不思議そうな顔をして守山は綾乃をじっと見た。
「別に、誰って訳じゃないんだけど・・・」
 綾乃が困っていると、ははっ、と守山は笑った。
「綾乃も大人になったんだな」
「そんな・・・」
 守山は拗ねている綾乃に「エッチしよ?」と言うと、唇を塞いだ。
 唇の隙間から割り入り、熱い舌で口腔内を刺激した。
 何度も唇に吸い付き濃厚なキスを繰り返した。
 綾乃の胸の奥にきゅんと甘い痛みが走る。
 守山の滑らかな舌と唇の感触に、綾乃は深く溺れて行くのを感じた。
「んっ・・・ぁ・・・」
 重なり合う唇の隙間からはしたない息が漏れ、感覚はやがて下半身に移行した。
 鼓動が早くなり、綾乃の体は守山を求めていた。
 ついに守山は綾乃の胸に手をかけ、カットソーとタンクトップを脱がせた。
 あっという間にブラジャーまで外されて、上半身を身にまとうものはなくなった。
 綾乃はぎゅっと目を閉じて、羞恥に耐えていた。
 守山はそんな綾乃を察したのか
「楽にしろ。すぐに気持ちよくなるから・・・」
と耳元で囁いた。
 首筋に守山の唇が触れる。鎖骨付近を震える舌がゆっくりと這う。
「あっ・・・・」
 触れるか触れないかの心許ない舌使いは、くすぐったいようなもどかしいような感覚だった。
 頬を染めてぴくりと反応する綾乃を見ていると、守山は我慢できなくなり綾乃の乳房を包み込み大きく揉みしだいた。
 守山の情欲を感じ取った綾乃は、次第に吐息が荒くなった。
 愛撫を受けて見せる綾乃の幼さの残る色っぽい表情に、守山は心を掻き乱された。
 膨らみの周りから内側に徐々に攻め、最後に敏感な頂に口をつけた。
「はぁっ・・・」
 綾乃は耐え切れずに大きく息を吐いた。
 守山は硬くなった乳首にしゃぶり付き、滑らかな刺激を与える。 もう片方は指で軽く摘み、こねくり回した。

 綾乃の下半身の疼きは限界を通り超した。
「あっ・・・あっ・・・」
 小刻みに動かされる度に、秘所は潤いを増し、太股を擦り合わせた。
 か細い声を漏らして応えてくれている綾乃を見ると、守山は心の中で反対する理性的な自分を打ち消した。
 守山は綾乃のスカートを捲り上げると、ショーツを下ろして両足から抜き取った。
 綾乃の体から力は抜け、大人しくされるがままだった。
 それでも守山に足を広げられると、恥ずかしくて手で股間を覆うように隠した。
「隠してたらできないよ」
「でも・・・」
 暗がりで見えないが、綾乃は真っ赤になっていることだろう。
 綾乃の手をどけると中心に指で触れた。
 初めてにしては十分すぎる程潤っていた。
 守山は誰にも汚されていない咲いたばかりの花弁を下から上に向かって擦った。
(こんな所を男性に触られるなんて・・・)
 何もかもが初めての綾乃にとっては羞恥以外の感情はなかった。
 思い描いていた綺麗な初体験は、フィクションの世界だけかもしれない。

 神経を張り詰めていた綾乃に、突然痛みが襲った。
「い、いた・・・」
 綾乃は足に力を入れ、身を硬くした。
 守山の指が入ろうとしていたのだ。
 しかし、綾乃の入り口は堅く閉ざして侵入を拒もうとしている。
「っ・・・・・・」
「痛いか?」
 綾乃は眉間にしわを寄せて、痛みと恐怖と戦っているようだった。
「んっ・・・うん・・・」
 守山は無理にするのは止めようと思い、周辺を優しく撫でることにした。
 しばらく続けていると綾乃に秘所には心地良さが広がり、再び潤いを取り戻した。
 それを見計らった守山はさらに綾乃の足を広げさせた。
(今度は何・・・?)
 突然、綾乃は股間に滑らかな感触を覚えた。
 守山の頭が足の間から覗いている。
(もしかして・・・)
「だめ!」
 綾乃は拒んだが、守山は力ずくで押さえつけ、敏感な小さな蕾に舌先をあてた。
 守山の熱い舌が花弁を捕らえると、綾乃の秘部はヒクつき、奥からは湧き水を溢れさせた。
 初めてなので強い刺激に慣れてないだろうと思い、薄皮の上から軽く左右に刺激する。
 綾乃の体にジンと電流が走った。
「幸太・・・何か変・・・」
「イキそう?」
 言いながらも守山は動きを続ける。
「んんっ・・・あんっ・・・はぁっ・・・あっ・・・」
はぁはぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・
 綾乃の呼吸はどんどん速くなり、歓喜の声を漏らした。
「い・・・やぁ・・・・・・・」
「イケよ」
 守山の声に反応するように、綾乃の快感は頂点まで高まり、両足がピンと突っ張った。
 脳内が別の空間に移行したように真っ白になり、体は自分のものでないような気さえする。
 太股を痙攣させると、綾乃はぐったりした。
「大丈夫か?」
「うん・・・」
 守山は綾乃を抱きしめると、髪を優しく撫でた。
 疲れた綾乃はそのまま朝まで寝てしまった。

「おはよ」
「お、おはよう・・・」
「昨日の綾乃・・・良かったぞ」
 守山は意味ありげなと笑いを送った。
「すげえ乱れてたな」
 綾乃は守山の目の前で絶頂を迎えてしまったことを思い出し、顔から火が出そうになった。
(スカートだけ履いて、上半身は裸のまま・・・。ほんとにやっちゃったんだ)
 恥ずかしさに一人悶えている綾乃を守山は強く抱き寄せた。

「綾乃、ごめん。ずっと苦しませていたみたいで悪かったな」
  守山は急に真剣な声になった。
  綾乃は何のことだか分からなかったが、守山の胸の中で衝撃の事実を聞かされた。
「実は俺・・・セックスできない体なんだ・・・」
「え?」
(できないってどういうこと?確かに、昨日はあたしだけが攻められたけど・・・)
「EDって聞いたことある?俺、その病気みたいなんだ・・・」
 綾乃は何と答えて良いのか分からなかった。
 そういう病気は聞いたことはあるが、小娘が簡単にアドバイスできるような問題ではないと悟った。

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愛しの彼といつもより♡なHを

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